政府は2025年10月3日、石破茂首相(当時)のもと、第37回新しい資本主義実現会議を開催した。会議では、賃上げや投資の促進など新しい資本主義実現に向けた取組と課題について議論が行われた。24年10月開催の第30回会議から続いた石破内閣最後の新しい資本主義実現会議となった。10月21日に就任した高市早苗首相が「新しい資本主義」の議論をどう継承・発展させるのか注目される。
成長と分配の好循環、コロナ後の新たな社会の開拓
新しい資本主義実現本部は2021年10月、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義を実現するために内閣に設置された。25年6月には「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」が閣議決定されている。
石破首相は会議での議論を踏まえ「私どもの内閣は、『賃上げこそが成長戦略の要である』との考え方の下、賃上げと投資がけん引する成長型経済への移行を目指してまいりました」と内閣の取組を総括した。
「GX2040ビジョン」策定し、改正GX推進法、改正資源法も成立
本部事務局がまとめた石破内閣の主な取組みと成果は、日本経済では昨年度、名目GDP(国内総生産)が初めて600兆円を突破し、設備投資は110兆円、対日直接投資残高は56.5兆円と、いずれも過去最高の水準となった。
「賃上げ」については全体で5.25%の賃上げ(昨年比+0.15%)、300人未満の中小組合で4.65%の賃上げ(同+0.20%)と、33年ぶりの高水準となった昨年を上回る賃上げを実現した。最低賃金についても、「2020年代に全国平均1,500円」を実現するという目標を設定。2025年度の最低賃金は1,121円の引上げを実現し、地域間格差も縮小した。
「投資立国」については、民間企業設備投資額は名目110兆円、対日直接投資残高は56.5兆円と、いずれも過去最高を更新(2025年4-6月期、速報値)。 国内投資については2030年度135兆円、2040年度200兆円という新たな目標を策定した。
150兆円のGX投資推進へビジョン策定
対日直接投資については、「対日直接投資促進プログラム2025」を策定。その残高について2030年120 兆円、2030年代前半のできるだけ早期に150兆円という新たな目標を設定した。また150兆円を超えるGX投資を呼び込むため、「GX2040ビジョン」を策定。排出量取引制度の法定化を行う改正GX推進法、再生資源の利用を義務付ける改正資源法も成立した。
さらに50兆円を超える半導体・AI投資を呼び込むために必要な支援を行う、改正情報処理促進法も成立。その他、農林水産物・食品の輸出額が初めて1.5兆円超となり、訪日外国人旅行者数は2,150万人(2025年1-6月、暫定値)、消費額は2.5 兆円(2025年4-6月期、速報値)と、いずれも過去最高を更新した。
「地方経済」に関しては今後10年間で集中的に取り組む施策を盛り込んだ「地方創生2.0基本構想」を策定。事前防災含め一貫した災害対応の司令塔となる防災庁の2026年度中の設置に向けて、「防災立国推進閣僚会議」を開催した。
最後に石破首相は新しい資本主義の実現に向け前進したが「なお、社会全体で、いわゆる『中間層』の割合が減少しているという、国民の皆様方の安心に関わる課題は残っているものと認識をしております」と述べた。