IH加熱技術を初採用。
独自開発した装置は劇的な省エネと生産効率アップをもたらし、海外工場へも導入拡大!
横浜ゴムさまは、創立100周年(2017年)に向けて、全社一丸で環境経営を推進していました。三重工場さまでも『毎日コツコツエコ活動(CO2 CO2 ECO)』をスローガンに省エネ活動に取り組み、設備や方法、材料、そして人を柱に工場内のあらゆる部分から省エネの可能性をピックアップ。タイヤ製造における「押出工程(タイヤと踏面の接地面のゴムを押し出す工程)」で使われているダイス(押出用金型)の予熱方法の改善がそのひとつとして挙がりました。
従来、ダイスの予熱には蒸気式の加熱装置を使用していましたが、装置や配管からの放熱、蒸気漏れによる熱ロスが問題になっていました。また、予熱時間が30分程度かかるため、ライン停止時も加熱しておく必要があり、省エネ性向上とCO2削減が課題だったのです。
「○っとちゅうでん コンプレッサIoT最適運用サービス」を導入し、エア圧力の変動、コンプレッサの運転状態の“見える化”を実現。エア圧力を限界まで低減し、コンプレッサ稼働台数の削減にも成功。コスト削減額が大幅に向上!
1901年(明治34年)、大理石を中心にした石材の加工・販売を目的に創業した矢橋大理石株式会社さま。現在は「建築石材部」「鉄工生産部」「電子生産部」の3事業部の構成で、「電子生産部」では、パソコンやスマートフォン、車載用製品など私たちの生活に欠かせない電子回路基板の穴明け加工を中心とした微細加工事業を展開しています。主要取引先は、同じ市内に本社を置き、電子事業・セラミック事業でグローバル展開するイビデン株式会社さま。同社より穴明け加工の生産工程を受託しています。
「当社電子生産部の売上は、先方の生産品の需要動向にどうしても左右されてしまうため、生産現場でのコスト削減は常に取り組むべき重要課題です」(浅野さま)
コンプレッサー圧縮エアの漏気調査により、エア漏れの改善に取り組み、コンプレッサーの消費電力量を約10%削減。
国内各工場に漏気対策を展開し、全社的に省エネ効果を発揮!
私たちの身の回りに数多くある家電製品やスマートフォンなどの電子機器。KOA株式会社さまはそれらの回路に組み込む重要な電子部品である、各種抵抗器やインダクタなどの開発・生産・販売、インダクタなどの開発・生産を国内外で幅広く手掛けています。この箕輪工場さまではインダクタやセラミック抵抗器を主に生産。インダクタ生産では常時コンプレッサーを運転させ、圧縮エアで生産設備を稼働しています。
同社では、2001年から省エネ及びCO2削減活動を社会環境グループが中心となって推進。これまで国内外の拠点単位で多岐にわたる具体的な活動や施策を続けてきました。そうした中、2011年の東日本大震災を機に省エネ、節電などの方針をより強め、箕輪工場さまでも独自の取り組みを模索していました。
「箕輪工場ではインダクタ生産に使うコンプレッサーと、抵抗器のセラミック抵抗器を焼成する電気炉が電気エネルギー消費の主要因です。電気炉は品質確保や機器自体の仕様もあるので、簡単に省エネは図れませんから、エア漏れも気になっていたコンプレッサーのほうを何とかできないかと検討しました」(小松さま)。
プリン製造の保温工程に循環加温型ヒートポンプを導入し、品質安定、作業環境の改善を実現。
ランニングコスト、CO2排出量とも大幅な削減に成功する!
牛乳をはじめ多彩な乳製品を製造している信州ミルクランド株式会社さま。工場では製造工程の多くに重油焚きボイラの蒸気を使用されています。その中、プリン製造でも原液の保温工程において、温水を作るためにジャケットタンク内に直接蒸気を投入。しかし、温度管理が難しく、水温が高くなりすぎると原液が固着してしまうなど、品質が安定しないことが課題でした。
「蒸気と給水の温度バランスが難しいんです。温度管理をしていても蒸気の高温で水温が上がってしまったり、温度の高い層と低い層ができて温度ムラが発生したり。品質安定を目指して手を打ちたいといろいろ考えていました」(小野澤さま)。
災害時にも早期復旧できる体制構築のため、LNGサテライト基地を設置
エネルギー供給面でのBCM強化を実現
LSI(大規模集積回路)の総合専業メーカーである富士通セミコンダクター株式会社さま(以下、富士通セミコンダクターさま)のグループ会社として、半導体ウェーハプロセス(前工程)の300mmラインを主体として製造しているのが、三重富士通セミコンダクター株式会社さま(以下、三重富士通セミコンダクターさま)です。
半導体ウェーハの製造工場では、クリーンルームの環境維持は重要で、わずかなホコリや温度・湿度の変化が品質に大きく影響するとてもデリケートなエリアです。三重富士通セミコンダクターさまでは、外部からのパイプラインによる都市ガスで蒸気ボイラーを稼動させ、クリーンルームの空調管理に利用してきました。
しかし、2011年3月に発生した東日本大震災では、東北地区にある同じグループ会社の工場が、ガスパイプラインの損傷や供給停止によって一時的な操業停止(12日間)に追い込まれました。
富士通セミコンダクターグループ全体では被災時に備え、2008年からインフラ(電力・水)復旧後7日間で前工程製造の操業を復旧するBCM(事業継続マネジメント)を構築していたものの、震災の被害状況を踏まえ、工場におけるエネルギー供給体制のさらなる強化が課題となりました。
地中熱ヒートポンプシステムを導入
地下水が持つ未利用エネルギーを空調で活用し省エネと快適性の向上を実現
棚橋工業株式会社さま(以下、棚橋工業さま)は、コンビニやドラッグストアをはじめ、さまざまな業種の店舗用商品陳列棚や販促システム什器の製造を手がけています。60年以上にわたる豊富な経験と実績をベースに、若い企画スタッフの柔軟な発想のデザインや3次元CADを駆使した設計力、それを製品化する熟練の現場スタッフと自社工場設備による一貫生産体制は、全国的にも高い評価を得ています。
棚橋工業さまでは、創業時代から"モノを無駄にしない"という精神が受け継がれ、機械を大事に使用してきましたが、工場、事務所棟ともに空調機器をはじめとした生産に付帯する設備の経年劣化が進んでおり、これら設備の更新が近年の課題になっていました。
中・長期的に見て効率的なエネルギー利用に貢献し、なおかつ社員の作業環境の向上に資する施策には、できる限り意欲的に設備投資に取り組んでいくという社長の方針のもと、数年前には作業現場の照明を水銀灯から省エネ型蛍光灯に更新。電気使用量の削減を図りながらも現場の照度を高め、製造スタッフの好評を得ています。
新工場の表面処理加工工程に、最新の循環加温型ヒートポンプを導入
蒸気使用量を大幅に抑えた、省エネ性の高いシステムを構築
岐阜県各務原市は国内大手航空機メーカーの主力工場があることから、高度な技術を持つ航空機関連企業の一大集積地となっています。天龍エアロコンポーネント株式会社さま(以下、天龍エアロさま)もそうした企業のひとつとして、複数の国内航空機メーカーから委託を請け、部品の製造をおこなってきました。
しかし、近年は新興国の台頭などで仕事が海外企業へ流出する傾向にあります。そこで、国際競争力の強化を図るため加盟する協同組合のうち天龍エアロさまを含めた4社が連携し、各社が持つ技術の強みを生かしてユニット部品の一括受注に乗り出すことにしました。ところが、既存の生産設備では、加工から表面処理、組立てまでを一貫した体制構築が実現できないため、(代表社として)天龍エアロさまが新工場を建設し、表面加工処理や検査などの工程において、省エネ性に優れ国際競争力の強化が図れる設備を整備することとなりました。
新工場建設を主導し、既設工場も含めた工場全体の責任者である中村さまは、「従来からある工場は年数もかなり経っており、多くのエネルギーを使っています。ですから、新工場については海外のライバル企業と対等に競える能力を持ちながら、省エネ性の高い仕様や設備にできる限りしていこうと思いました」と語ります。
蒸気ラインの放熱ロス削減 配管の統廃合により効率性を向上 事務・食堂エリアの空調機器を電気式に更新 省エネ化を図る
紙おむつやマスクなどの衛生製品をはじめ、生活雑貨や土木資材などに幅広く利用されている不織布。その最大手である三井化学グループの一員として、サンレックス工業株式会社さまは国内生産を一手に担いながら、研究・生産技術の拠点としてもマザー工場化に向けて邁進されています。
不織布の生産は1971年に開始し、平成以降紙おむつの需要が高まったこともあり、同社においても生産量は急増。それに伴い、不織布の生産ラインも増設を続け、現在では6ラインが広い工場内各所で稼動しています。
サンレックス工業さまでは、生産ラインをはじめ、事務所棟などの空調にも蒸気ボイラ(重油燃料)を熱源として使用。しかし、1ヵ所にしかないボイラ室から長距離の配管を通して広い工場内の各所に蒸気を送っているため、放熱ロスが多く、燃料コストの高止まりが課題でした。
クリーンルーム内の加湿要求エリアを見直し、搬送ダクトの経路を改善
蒸気量削減を果たし、ランニングコスト削減を実現
情報通信、エレクトロニクス、自動車、マテリアルなどさまざまな分野において、高品質な製品づくりをおこなっている古河電気工業株式会社さま。その中で三重事業所さま(以下、古河電工三重事業所さま)は、光通信工場、伸銅工場、銅線工場など7つの事業部門からなり、国内生産の中核工場として稼動されています。
中でも光通信工場では、インターネットを中心とする情報ネットワーク社会の発展に大きな役割を果たしている光ファイバケーブルを一貫体制で製造しています。1974年に世界で初めて光ファイバケーブルのフィールド試験に成功したのは同社の功績。以来この分野におけるリーディングカンパニーとしてさまざまな製品を送り出しています。光ファイバの製造工程では工場内をクリーンルームとしており、他の工場に比べ多くのエネルギーを消費。そのため、従来から省エネ対策が課題となっており、さらに昨今のエネルギーコストの上昇や為替変動などをうけ、エネルギーコスト削減に向けた具体的な対策を検討することになりました。
チョコレート製造ラインに、循環加温式ヒートポンプ給湯機を導入
従来より約40%ものエネルギーコスト削減を実現
おなじみのアルファベットチョコレートなど、チョコレート菓子を中心に製造している名糖産業株式会社さま。
基幹工場である名古屋工場は外観もチョコレート色に配色され、周囲には甘い香りが漂っています。同工場はチョコレートの原料となるカカオ豆のローストから加工・最終商品まで一貫して製造できる独自の技術と設備を備えており、市場のニーズに合わせた多彩なチョコレート製品を生産。複数の製造ラインが稼動しています。名糖産業株式会社さまでは、全社的にコスト削減への取り組みが課題であり、製造工程での省エネ対策を模索されていました。
工場長の瀧川さまは「経営的に考えると、売上アップにつながる新しい製造機器には比較的投資しやすいですが、今回のようなサブ的な工程への投資はどうしても後回しになりがち。しかし、コストを抑えて利益につなげることも大切なんです。円安の影響で原料高も進み、製造コスト面で圧迫されていますから」と語ります。そうした中、同工場ではコスト削減効果がより大きく見込まれるチョコレートの「保温工程」に着目し、トライアル的な要素も踏まえて1ラインのシステムを更新することになりました。
省エネ、CO2削減のため、投資効率を見極めた様々な改善策を実施
ヒートポンプ給湯機の導入でより大きな効果を発揮
日本たばこ産業株式会社(JT)東海工場さま(以下、東海工場さま)は、国内中核工場の一つとして年間約230億本(2013年3月現在)のたばこを生産。たばこ好きにはおなじみの銘柄も数多く手掛けています。日本たばこ産業株式会社(JT)さまは、グループ全体で環境負荷低減活動に積極的に取り組んでおり、2005年からは環境行動計画として具体的な数値目標を設定。その達成に向け各部門で様々な取り組みを進め、東海工場さまにおいても独自に目標を掲げて活動し、一般的な「PDCAサイクル」に、現状の調査・把握(Research)、目標設定(Goal)を先に加えた「RGPDCA」方式により、内容を明確化して実践されています。専門部会「省エネ専門グループ」で数々の改善策を計画・実行に移してきた技術部主任技師の久井さまはこう語ります。「省エネ投資は、単純な投資回収年評価(投資額÷節減額)では投資効果の判断としては不十分。回収年だけの判断であり、投資効果の規模の評価をしていないので、例えば、早く回収できるが節減額の少ない案件と、回収は遅いが節減額が多い案件はどちらが良いか、といった評価はできていないわけです。また投資額や節減額と、実際のキャッシュの動きは異なるので、納税額も考慮したキャッシュの増減での評価も重要です」。
環境の時代に応える大規模工場のエネルギー削減策とは
株式会社エフ・シー・シーさまは、四輪車・二輪車用のクラッチメーカーとして、国内をはじめ世界10ヶ国に生産拠点を有し、グローバルに事業を展開しています。摩擦材の開発からクラッチの設計・組み立てまで一貫生産システムにより先進的な製品を安定的に供給しており、現在、二輪車用のクラッチの生産量は世界トップクラスです。
同社の生産拠点のひとつ、株式会社エフ・シー・シー 鈴鹿工場さまは、F1日本グランプリやオートバイの8時間耐久ロードレースなど、さまざまな国際レースが開催される鈴鹿市にあります。
1963年に操業を開始した築45年の工場を、2008年4月末に鈴鹿市国府町から同市御薗町へ移転。新工場は、敷地面積が東京ドームよりも広い5万477平方メートル、建物面積は2万2,535平方メートルと、規模は旧工場の約2倍になりました。これまで他工場で行っていた部品のアッセンブリーも含めて、二輪車用クラッチの部品の鋳造から組立、出荷までの一貫生産ラインを構築。さらにクラッチの心臓部である摩擦材を生産する抄造・含浸ラインも新設しています。
新工場建設にあたっては、設備を増強して生産能力の強化を図ると同時に、工場全体の使用エネルギーを削減し、地球環境に配慮することも大きなテーマでした。
「地球温暖化対策への取り組みとしてはもちろん、ISO14001を取得しているため、新工場においても省エネやCO2排出量の削減は重要な課題でした」と、製造課 課長の豊田さまは語ります。
また、旧工場は、アルミダイキャストの溶解炉や手許炉、可動式のスポット空調といった設備の排熱などにより、工場内は夏場で約45℃と非常に暑く、こうした作業環境の改善も新工場の課題でした。
焼成・乾燥プロセス電化で進める、高級えびせんべい量産化
「愛知県の三河湾に面する一色町は、えびせんべいの発祥地として知られています。 その一色町で50年以上にわたり、えびせんべいを製造・販売している株式会社ヤマ伍三矢商店さま。 素焼きや二度焼きのえびせんべいなど、素材の持ち味を生かした多彩な商品は人気があります。
「当社では、良質のえびをたっぷり含み、しかも調味料の使用を極力控えることで、素材本来の旨味や香りがしっかりと味わえるえびせんべい作りにこだわっています。 そういった高級品はこれまで手焼きでしか製造できませんでしたが、機械化による量産を実現して、より多くの方に一色町産の美味しいえびせんべいの味を知っていただきたいと考えていました」と、株式会社ヤマ伍三矢商店の代表取締役の三矢さまは語ります。
中部電力ミライズでは、高級えびせんべいの量産化の実現に向けて、新たな製造ラインの開発に向けてお手伝いすることになりました。