改善事例
取材日 2013年8月
ホテルライクな快適性を
備えてフルリニューアル
多くのママたちから
支持を集める産婦人科病院
愛知県豊田市にある鈴木病院さまは、産婦人科・小児科の病院としてこの地で40年前から開業されており、豊田市を中心とした周辺地域のご家庭のみなさまから高い信頼を得ています。老朽化した旧病院は機能的な不具合が生じてきたことに加え、耐震設計の面で現在の基準に見合わなくなってきたことから、新築建て替えをされました。
鈴木院長さまのこだわりをかたちにした新病院は、洗練されたホテル風のデザイン。落ち着いた雰囲気の内観は、訪れたすべての人たちを優しく包み込みます。鈴木院長さまは、「これまで増改築などリニューアルを繰り返してきましたが、今回の全面建て替えで4回目です。今までの経験を生かし、すべてにおいて質の良い病院にしたいと思いました。どなたにも安心して心から寛いでいただける環境を作りたいと考えたのです」とその想いを語ります。入院者を「ゲスト」、病室を「ゲストルーム」と捉え、退院までの期間を心身ともに安らかに過ごしていただくため、ホテル並みにしつらえた個室を4フロアに備えています。
鈴木病院さまでは建て替えにあたり、病院全体の安全性・快適性・機能性の向上に加え、調理場における衛生管理やスタッフの作業環境の改善も大きなテーマとしていました。そのため、当初は厨房の電化から計画がスタートしたそうです。設計を担当した株式会社日建設計さまでは、電化厨房を念頭に入れながらも、病院全体でのエネルギー利用状況を調査・分析し、その結果、医療機器類にもボイラーによる大量の蒸気を必要としないことなどを確認。さまざまなメリットやデメリットについて協議・検討を重ねた結果、すべてを電化システムとする病院建設が決定されました。
機械設備を担当した大橋さまは、「電化厨房についてはこだわりが強く、厨房全体レイアウトや機器選定に相当時間を掛けました。また、院長先生の来院者に対する想いも深かったので、快適性、機能性をより高めるシステムや室内環境の設計に力を注ぎました」と語ります。
また、電気設備を担当した横井さまは、「医療機関としての安全・安心を考えた場合、災害時のインフラ復旧スピードを考慮した医療継続(BCP)の観点が大切です。また、通常時でも事故リスクを少しでも軽減したいという院長先生のお考えも踏まえ、設備システムを提案しました」と、電化が採用された理由を語ります。
電化厨房については、専属の栄養士がゲストと病院スタッフの通常食を調理する調理場のほか、シェフこだわりの院内レストラン専用キッチンの2種類を備えています。レストランは、出産後のゲストのみなさまにお祝いの気持ちを込めて特別にフルコース料理を提供するための施設で、窓の外にはテラスが広がり、開放感あふれる本格的なつくりとしました。
給湯においては大型タンクを備えた業務用エコキュートを採用。ゲストルーム全室に備えられたシャワールームへの大量給湯や厨房での調理利用にも余裕を持って対応。また、育児教室などに使うラマーズホール及び併設する保育室には、蓄熱式床暖房を設置し、冬場はママや赤ちゃんに安全で優しい温もりを届けます。業務用エコキュートも蓄熱式床暖房も、快適性や安全性を備えると同時に、夜間の割安な電気を利用してランニングコスト削減も図っています。
ゲスト専用レストランのシェフを務める丸山均さまは、料理の世界に入って30年以上、フレンチにも精通したベテランです。電化厨房の計画・導入時点では、現場に立つシェフ自らが厨房レイアウトや機器選定を進めたそうです。中部電力ミライズでは、先に電化厨房を導入している名古屋の一流ホテルにシェフをご案内し、ホテルの料理長たちと意見交換する場をセッティングしたり、実際に電化厨房を体験して頂く機会を設けさせていただきました。
電化厨房について丸山さまは「IH調理器が一番気に入ってます。サッと拭くだけでいつでもきれいですし、食材のカスが隙間に落ちることも無い。余分なことに気を使わず料理に専念できるのがいいです」と語ります。また、火による燃焼が無いため、今まで料理人として仕事をしてきた数々の厨房に比べ、涼しく快適だそうです。ゲストをもてなすフレンチのフルコース料理は、前菜から始まるぜいたくな2時間。ゲストのアレルギー状況も事前に伺い、個別に対応するなど細やかな心づかいも大変好評です。
丸山さまは「回転釜やスチコンなど電気式ならではの特性には少しコツが必要ですが、慣れてきました。院長先生から"ゲストもスタッフも料理が美味しいと言ってるよ"と声を掛けていただいてますので、これからもこの厨房から病院の評判をさらに上げていけるよう、お手伝いしたいと思っています」と抱負を語ります。
鈴木病院さまではこの秋、緑豊かな庭園が完成しました。鈴木院長さまは「病院とは病気や手術による痛みや苦しみがある一方で、新たな生命や希望が誕生する場所。ですから、みなさんができるだけ寛げるように緑の多い庭も作ることで、総合的に安らげる病院がこれで完成しました」と語っておられます。庭園の広さは約200坪ほどもあり、様々な種類の木々が植栽されています。きっと、近隣の住民や通り掛かる人たちにも落ち着きと安らぎを与えるスポットになるはずです。
電化システムの病院として開業間もない鈴木病院さまでは、まだ冬季の運用を経験しておらず、蓄熱式床暖房の本格稼動時における他の電気設備・機器との利用バランスや電力使用量はこれから把握していくこととなります。
中部電力ミライズでは今後も電力実績評価など、エネルギーの効率的利用についてお手伝いを続けていきたいと考えています。
導入システム
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