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パラボラアンテナの原理で太陽熱を集約する「タワー式太陽熱発電」

最終更新日: 2025年10月27日

脱炭素や再生可能エネルギーなどに関する「環境ビジネス」は全人類の運命を左右するテーマだけに、世界ではさまざまなイノベーションが考案され、実行されている。このリレー連載では「脱炭素」「持続可能な社会」「気候変動」「再生可能エネルギー」から、「食品ロス」「ごみ削減」に至るまで、世界各地のさまざまなエコな取り組みを紹介する。

多数の「反射鏡」で太陽熱集める「タワー式」

米国のタワー式太陽熱発電(出所:米国エネルギー省 国立再生可能エネルギー研究所)

「太陽の発電利用」というとすぐに思い浮かぶのが「ソーラーパネル」。だが海外ではそれ以外の方法で太陽を利用するアイディアが実現されている。その一つが今回紹介する「タワー式太陽熱発電」だ。

原理的には通信衛星や遠い宇宙からの電波を集める「パラボラアンテナ」に似ている。ただし一枚の巨大なお皿または円盤はなく、代わりに多数の「反射鏡」を並べる。また集めるものは電波ではなく、太陽熱だ。

タワー式太陽熱発電は広大な敷地が必要になる(出所:123RF)

必要なのは広大な敷地。その中央に高いタワーを設置し、そのまわりに無数の「反射鏡」を置く。その反射鏡が跳ね返す太陽熱をタワー上部で集め、それでタービンを回す。それで発電されるという原理だ。

米国の「ソーラープロジェクト」が先駆け

この方式は世界各地で実現されているが、その先駆けとも言えるのが米国エネルギー省などがカリフォルニア州の砂漠地帯で推進してきた「ソーラープロジェクト」だ。最初の「ソーラーワン」という発電所は1982年から1986年まで稼働。塔の高さは90メートルに及んだ。

2号機ともいえる「ソーラーツー」は1995年から1999年。「反射器」の数は合計1926基で、各反射器には64枚の反射鏡がつけられた。最終的には10メガワット、つまりおよそ7500世帯に供給するのに充分な電力をつくることできた。

タワー式太陽熱発電は中国(写真)など世界に広がっている(出所:123RF)

タワー式、UAE、中国など世界各国で完成

この原理を用いた施設は2025年現在、アラブ首長国連邦(UAE)、イスラエル、モロッコ、南アフリカ、チリ、中国、オーストラリア、スペインなど世界各国で完成していて、塔の高さは250メートルを超えるものもあるという。

この「タワー式太陽熱発電」の技術的な肝は、いかに効果的にタワーの上部の「集熱器」に太陽熱を集められるか。そのためには太陽の高さ(入射角)によって「反射鏡」の角度を変える必要がある(たとえば太陽が低い朝は西側の反射鏡は東向きに角度を立てて、東側の反射鏡は寝かせ気味に。太陽が高い昼はほとんどの反射鏡を寝かせ気味に。夕方は朝の逆)。

また同じ方角にある反射器でも、タワーからの距離によって角度を変える必要がある。もちろんこれらの動きはコンピューターで制御されている。

広大な土地が必要、日本国内では困難

ちなみに昼間に充電しておけば、夜も発電可能だそうだ。

ただしこの技術を日本の国土で採用するのは困難が伴う。これだけの広さの森林を切りひらけば環境破壊につながるからだ。というわけで現在この「タワー式太陽熱発電」の施設が設置されているのは、上記のように砂漠地帯がある国々がほとんどのようだ。

著者プロフィール

オーストラリア在住ジャーナリスト・海外書き人クラブ 柳沢 有紀夫

日本にある外資系広告会社でコピーライターをした後、オーストラリアに移住。同国でフリーランスのライターに。2000年に海外書き人クラブを結成し、以来お世話係を務める。海外書き人クラブの仲間たちとの共著も含め著書多数。ペンネームの竹内雄紀名義でも小説を出版。