BCP策定ガイド

01 BCPの基本

企業のBCP策定の現状と課題
「企業の事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(帝国データバンク・2024年)」を基に、日本の企業のBCP策定の現状と課題を見ていきます。
策定意向あり50.0%注:母数は、有効回答企業1万1,410社
同調査によると、日本において「BCPの策定意向がある」と回答した企業は約50.0%でした。多くの企業はBCPの策定について、まだ検討が進んでいないといえるのではないでしょうか。
  • 注1:網掛けは、「大企業」と「中小企業」の比較で割合が高い規模を示す
  • 注2:母数は、事業継続計画(BCP)を「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の
    いずれかを選択した企業5,705社
  • 出典:帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2024年)」
また、「事業中断リスクに備えた実施・検討内容」について尋ねたところ、大企業・中小企業のいずれも、「従業員の安否確認手段の整備」を最も優先すべき項目として挙げています。
BCPのよくある誤解と課題
大企業にとってBCPの策定は必須ですが、中小企業はBCPの有無による影響を受けるより大きなリスクがあります。しかし、中小企業でBCPマニュアルを適切に保管・運用している例は少なく、防災マニュアルとBCPを混同しているケースも散見されます。

では、なぜ中小企業はBCPの策定に踏み出せず、あるいは策定しても運用が滞るのでしょうか。背景には、以下の3つの課題が挙げられます。
BCPのよくある誤解と課題
1. BCPに対する認知度と知識の不足
策定の必要性が十分に認識されず、担当者がいても「何から手をつけてよいのか分からない」といった状態に陥りがちです。
2. 予算確保の困難さ
限られた経営資源の中で、経済的な効果が見えにくいBCPの策定・更新にかける予算が後回しになることが考えられます。そのため、被害額や復旧期間などの損失を数値化し、有用性をアピールすることがが重要です。
3. 組織内での浸透の難しさ
BCPマニュアルが作成されても、内容が組織全体に十分に伝わっていなければ、緊急時に従業員が適切に行動できず、BCPが機能しないおそれがあります。

こうしたリスクを防ぐためにも、経営層を含めたプロジェクトチームでマニュアルを策定し、各部門が当事者意識を持って取り組むことが求められます。
BCPが必要な理由/メリット
上述したような課題がある一方で、BCPを策定することは企業にとって計り知れないメリットがあります。ここでは、主な2つのメリットについて解説します。
BCPが必要な理由/メリット
従業員の安全と雇用の確保
多くの経営者が、企業経営において最も重要なリソースは「人」だと認識しています。だからこそ、BCPは災害や緊急事態が発生した際に従業員の命と安全を守り、雇用を継続するための具体的な対策として重要です。

従業員が安心して働ける環境を整えることは、人材の定着を促進し、結果として採用や教育にかかるコストの削減にもつながります。
社会的な信頼と企業価値の向上
事業を継続し、製品やサービスを安定的に供給できる企業は、顧客や取引先からの信頼を獲得できます。その結果、企業価値の向上にも直結し、社会的意義を持つ取り組みとして高く評価されます。

BCPは単なるリスク対策にとどまらず、企業が社会の一員として責任を果たし、持続可能な成長を目指すうえで重要な指針といえるでしょう。