BCP策定ガイド

01 BCPの基本

BCP策定の基本ステップ
BCPは、緊急時の対応力向上および事業継続の成否を左右する存在です。
BCPの策定は、一般的にPDCAサイクルに沿って進めます。

ここでは、すでにBCPを策定している企業と、これからBCP策定に着手する企業のそれぞれに応じたアプローチをご紹介します。
BCP策定の基本ステップ
すでにBCPを策定している企業
ステップ1:BCPの目的・意義の再確認と明確化
まずは、BCPの目的や社会的な意義を再確認し、明確に設定することが重要です。単なる災害対策にとどまらず、地域との連携や企業価値の向上といった視点を加えることで、より実効性の高いBCPになります。
ステップ2:リスクアセスメントの実施とマニュアルのアップデート
現状に合わせてリスク分析を行い、優先順位を付けます。既存のBCPが現状のリスクに適切に対応できているかを確認し、必要に応じて内容を更新します。
ステップ3:研修・訓練の実施とフィードバック
策定したBCPの組織全体への浸透度を確認するため、定期的な研修や訓練を実施。訓練を通じて明らかになった課題を抽出し、改善して反映させます。
ステップ4:継続的な改善
抽出された課題に基づいてBCPマニュアルや体制を見直し、再びPDCAサイクルを回して改善します。
BCP策定はしているものの、一度も見直しをしていない企業
すでにBCPを策定しているものの、一度も見直しが進んでいない場合は、BCPの目的や社会的意義を再確認することから始めましょう。時間の経過とともに事業環境やリスクは変化するため、目的に沿って現状の計画が有効かを評価し直すことが重要です。
ステップ1:BCPの目的・意義の再確認と明確化
まずは、策定時の目標を再評価し、現在の事業環境や社会情勢に合致しているかを見直します。地域貢献、顧客信頼維持などBCPが持つ社会的な意味を再認識しましょう。
ステップ2:現状の計画の評価
策定済みのマニュアルや計画が、本当に機能するかを机上トレーニングなどで検証します。過去の事例やトレーニングの結果を基に、改善点や課題を洗い出します。
ステップ3:計画の更新と改善
実効性の高いBCPとなるように、洗い出された課題に基づいて改善を重ね、マニュアルや対応策を更新します。
ステップ4:継続的な改善
再びPDCAサイクルを回し、適宜改善します。
これからBCPを策定する企業向け
BCP策定の経験がない企業にとっては、心理的なハードルが高く感じられるかもしれません。完璧を目指すのではなく、まずは「できること」から始めることが大切です。
ステップ1:BCPの目的・意義の明確化
BCPの目的やゴールを明確に設定します。
ステップ2:簡易的な訓練の実施
リスクの特定・分析から始めるのが難しい場合は、まず机上訓練など、実施しやすい範囲で訓練を行なってみましょう。たとえば、緊急時に従業員が取るべき行動をシミュレーションすることで、具体的な課題が見えてきます。
ステップ3:課題の洗い出しと計画の策定
訓練で明らかになった課題をもとに、それらを解決するための具体的な計画を策定します。
ステップ4:リスクの特定・分析とマニュアルの作成
課題の把握後に、改めてリスクの特定・分析を経て優先順位を付け、それに基づいてBCPマニュアルを作成します。
ステップ5:研修・訓練の実施と継続的な改善
作成したマニュアルを活用し、定期的に研修や訓練を実施。新たな課題を発見し、改善していくサイクルを繰り返します。
BCPの策定は、総務課など特定の部署だけで進めるのではなく、経営層、経理部門、現場責任者など、複数の部門からなるプロジェクトチームを組成することが重要なポイントです。

これにより、各部門の視点を反映した実効性の高いBCPを策定できるだけでなく、担当者の心理的な負担を軽減し、組織全体への浸透もスムーズに進められます。
「BCM」の視点が求められるように
近年では、BCPにとどまらず、計画を周知・実施するための「BCM(Business Continuity Management)」の視点も重視されています。BCMは「事業継続マネジメント」を指し、事故や災害などの影響で事業活動が中断した場合に、BCPを活用した事業継続のプロセスを平常時に検討し、企業内に浸透・準備するためのマネジメント全般です。

策定したBCPを組織全体で継続的に運用し、維持・改善していく活動を指すBCMが必要とされる理由は、主に次の2つです。
「BCM」の視点が求められるように
各部署が連携し組織全体で対応する
リスクは特定の部署や担当者だけで対応できるものではなく、各部署が連携し、組織全体として対策に取り組む必要があります。
初動対応が遅れると、事業の衰退、さらには倒産といった「負の連鎖」につながる可能性があります。
業界全体で事業を止めないために必要
現代のビジネスは、複雑に絡み合ったサプライチェーンによって成り立っています。そのため、自社が無事でも、取引先や協力会社など関連企業が機能を停止すれば、事業の継続は難しくなるでしょう。

こうした背景を踏まえ、自社だけでなくサプライチェーン全体と連携しながら、業界全体で事業を止めないための仕組みづくりを進めることが求められています。

BCM体制が適切に構築されていれば、緊急事態が発生した際でも、組織全体のコントロールが容易になり、迅速かつ効果的な対応が可能となるでしょう。
自社のBCPレベルを把握しよう
BCP策定で陥りがちな課題には、「書類作成が目的化し、運用が疎かになること」や「リスク想定が自然災害に偏ること」が挙げられます。ありがちな例としては、BCPが「防災マニュアル止まり」になるケースです。こうした実態を踏まえ、自社のBCPを本当に機能するBCPにするためのポイントについて解説します。
自社のBCPレベルを把握しよう
本当に機能するBCPにするために
BCPは事業継続のための「仕組み」であり、緊急時の組織体制や役割分担、不在時の代替プランまで明確にしておく必要があります。また、「平日日中のみを想定」する傾向がありますが「夜間や休日を想定」した対応フローも欠かせません。BCPの効果的な運用には、まず自社の現状を把握することが重要です。リスクの洗い出しや簡易チェックリストの活用から着手しましょう。

BCPは一度作成して終わりではありません。従業員一人ひとりがリスクを「自分ごと」として捉え、定期的な訓練や研修を通じて、常にBCPを実効性のあるものへと進化させることが必要です。
緊急体制の構築も進めよう
BCPの実効性を高めるためには、緊急時に機能する体制の構築が欠かせません。特に重要なのが、災害対策本部の適切な人員配置と、その円滑な運用です。

緊急時には多くの従業員が「何をすべきか分からない」状態に陥り、結果として対策本部への問い合わせが集中してしまうケースが少なくありません。こうした状況を引き起こす主な課題は、以下の通りです。
経営層のコミットメント不足
経営層が積極的に関わることで、緊急時にもすばやく判断でき、組織全体をうまくまとめることができます。
役割と責任の不明確さ
それぞれの班や従業員が「自分が何をすべきか」をはっきりさせて、全員でその内容を共有しておくことが大切です。
訓練の不足と認知度の低さ
年に数回の防災訓練では不十分です。各部署が日常的にBCPを学ぶ機会をつくり、従業員一人ひとりの意識を高め、BCPの認知度を向上させましょう。
まとめ:リスクの洗い出しから始めよう
予期せぬ危機が常態化する現代において、BCPは企業の存続に欠かせないものです。

自然災害、パンデミック、サイバー攻撃など多様なリスクに備えることで、事業中断による損害を最小限に抑え、早期復旧を可能にします。適切なBCPは企業の強みとなりますが、不備があれば機能不全に陥るリスクもあります。

BCP策定に「100点」は存在しません。完璧を目指して立ち止まるのではなく、まずは「どこにリスクがあるか」を把握し、「0点」の状態を避けることが重要です。
まとめ:リスクの洗い出しから始めよう
そのためにも、以下の3点を意識しましょう。
  • ・ 簡易的な訓練やリスクの洗い出しなど、できることから始める
  • ・ 少しずつ更新・改善を繰り返し、実効性を高める
  • ・ 経営層を含めたプロジェクトチームで策定・運用する
BCP策定を進めていく詳しいステップについて知りたい方は、以下の記事もご覧ください。