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DX・IT活用-第1回:DXって何?どんなメリットがあるの?

教えて!DX先生 第1回 DXって何?どんなメリットがあるの?

目次

01.DXとは

DX推進担当

中小企業で働いている。
会社のDX推進担当に任命され、DXについて勉強中。

最近よく聞くDXって、何をすることですか?

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、直訳するとデジタル改革を指します。簡単に言うと、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するためにおこなう改革のことです。もう少し詳しく解説していきますね。

DX推進担当

DX推進担当の相談係。
中小企業のDXについて広い知識を持っている。

DXの定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がよく使われていますが、具体的にどんなことを指すのかわからない人も多いのではないでしょうか?
経済産業省による「デジタルガバナンス・コード2.0」によると、DXは次のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

出典:「デジタルガバナンス・コード2.0」(経済産業省)

上記の定義を読むと、これまでに企業がパソコンやサーバーなどを導入して取り組んできたことと似ていると感じる部分があるかもしれません。しかし、この定義の中には「変革」という言葉が何度も登場します。DXではこの「変革」という言葉がキーワードになります。

IT化やデジタル化との違い

これまでも「IT化」や「デジタル化」という言葉はよく使われてきました。これらとDXとの違いについて考えてみます。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)による「DX白書2023」では、DXを次の3つのステップにわけて解説しています。

STEP01
デジタイゼーション

アナログ・物理データのデジタルデータ化
(例:配車実績情報の電子化)

STEP02
デジタイゼーション

個別の業務・製造プロセスのデジタル化
(例:配車業務の自動化)

STEP03
デジタイゼーション

組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、「顧客起点の価値創出」のための事業やビジネスモデルの変革
(例:配車プラットフォームの構築)

出典:「DX白書2023」(独立行政法人情報処理推進機構)

「デジタイゼーション」はタクシー会社や運送会社が紙と手書きで管理していたような配車実績情報を表計算ソフトなどでデジタルデータ化することなどを指します。「デジタライゼーション」は配車業務を自動化できるようにソフトウェアの導入や開発によって業務を効率化することが挙げられます。これらはこれまでのIT化やデジタル化の範囲だと言えるでしょう。

IT化やデジタル化からステップアップした先にDXがあるということですか?

その通りです。DXは、ビジネスモデルを大きく変えて「ITを中心とした新たなビジネス」を生み出すような考え方を指します。たとえば、タクシー会社や運送会社が配車プラットフォームを構築することで、他社に配車管理サービスを提供するようなビジネスを自社で実現できる可能性があります。

IT技術を用いた新たなサービスを提供できるようになると、自社だけのIT利用にとどまらず、業界全体にサービスを提供するIT事業者の立場に変わります。つまり、現在のビジネスをITで効率化するのではなく、最先端のITを使ったビジネスを考えるのです。

また、顧客の課題を発見・解決して新たな価値を作り出すような組織外に向けた取り組みと、業務生産性の向上などの組織内に向けた取り組みの両面からDXを推進する必要があります。

これだけ聞くと難しそうですが、身近なことからでもDXに取り組めます。まずは従業員の勤怠管理や在庫管理など、紙で管理しているものをデジタルデータ化したり、受発注が自動で入力・処理されるようなソフトウェアを導入したりすることから始めて、段階的にDXを進めていきましょう。

02.DX推進のメリット

DX推進にはどのようなメリットがありますか?

業務の生産性向上やコストの削減に加え、市場の変化に柔軟に対応できること、働き方改革の実現など、さまざまなメリットが考えられます。

merit01 業務の生産性向上・コストの削減

組織内におけるDXの取り組みとして、AIやIoTを活用した自動化があります。これまで多くのリソースを割いていた入力業務などを自動化することで、生産性の向上やコストの削減が期待できます。自動化に伴って業務プロセスの可視化や分析、業務フローの見直しもおこなえます。分析により高い利益を出している業務を見つけられれば、そこにリソースを割いて生産性を高めることも可能です。さらに、自動化できれば従業員はよりクリエイティブな作業に取り組めます。

またDXへの取り組みが進めば、ヒューマンエラーや担当者による作業品質の違いなど、人がおこなうことによるトラブルの低減につながり、より効率的に製品やサービスを提供できるでしょう。

株式会社田代製作所の事例

これまで工場内で製作する製品の製作指示書は、紙にコピーして工場作業員へと配布していました。そこで製作時間の確保とコスト削減のため、工場作業員へとタブレット端末を支給し、製作指示書をペーパーレス化。コピー用紙の使用量を約70~80%削減し、製作指示書の配布にかかっていた時間の短縮に成功しました。出荷までのリードタイムは変わらず製作や準備に使える時間が増え、不良品の削減、社員一人あたりの売上アップにもつながりました。

参考:「DX Selection 2023」(経済産業省)

※画像はイメージです

merit02 市場の変化への柔軟な対応

組織外に向けたDXの取り組みにもデジタル技術の活用が挙げられます。例えば新聞やテレビの広告から情報を得ていた消費者が、今ではSNSや口コミなどから情報収集することも増えました。ほかにも、ネット注文の飲食宅配サービスのニーズ増加や、オンライン配信の視聴者増加、公共交通機関などのモバイルICカードの普及、電子決済サービスの普及など、消費者の行動は日々大きく変化しています。このような行動変化にも対応しやすくなるのは大きなメリットのひとつです。

両備ホールディングス株式会社の事例

サービスの利便性と効率性向上のため、路線バスで使用できるデジタル定期券アプリを開発。これによりバス利用者は時間や場所を問わず定期券を購入できるようになりました。また、バス会社などからのおしらせをアプリで配信することにより、従来のポスター掲出などに比べ利用者に情報が行き届くように。アンケート機能で利用者から意見を貰う頻度も増え、マーケティング活動につなげています。

参考:「DX Selection 2023」(経済産業省)

※画像はイメージです

merit03 働き方改革の実現

DXの一環としてオンラインのコミュニケーションツールの導入や、紙書類の電子化などを推進することで、業務が効率化し、従業員の働き方改革にもつながっていきます。

また、こういったDXへの投資は、自然災害、感染症の流行などが発生した場合でも事業を中断することなく継続する「BCP(事業継続計画)」にもつながります。実際に、業務のデジタル化を推進していた企業は、新型コロナウイルス感染症の広がりの中でもスムーズにテレワークに移行できました。

有限会社ゼムケンサービスの事例

有限会社ゼムケンサービスでは、以前から女性が建設業で働き続けるためにデジタル活用は必須だと考えていました。しかし社員のITリテラシーにばらつきがあり、今後のビジョンが浸透しにくいことに課題を感じていました。そこでメーリングリストを活用した日報報告の義務化や、全社員でのテレワークの実施、Web会議ツールを利用した朝礼の実施など、全社員でツールを利用することで徐々にITリテラシーを向上させ、いつでもどこでも働ける環境を整備。子育て中や介護中の女性を中心に、ワークシェアリングの取り組みなどが浸透しました。さらに生産性の向上により、売上も大幅にアップしました。

参考:「DX Selection 2023」(経済産業省)

※画像はイメージです

そのほかにも、複雑化・老朽化したレガシーシステムからの脱却、新規ビジネスの開拓など、DXには多くのメリットがあります。

安否確認メールサービス

緊急時の社内連絡をスムーズにして、迅速な対応を実現します

災害時に全従業員に連絡や被災状況の確認が手間なくできるサービスです。最大6問までの簡易なアンケートが付けられるので迅速に従業員の置かれている状況を把握できます。しかも費用は0円(条件有り)、データは中部電力ミライズが管理するためセキュリティ面も安心です。

03.DX推進のデメリット

DX推進はたくさんメリットがあるんですね!デメリットはありますか?

ランニングコストがかかることや、既存システムの見直し・移行などに時間がかかること、そして取り組んだ効果がすぐに得られない可能性がある、といったデメリットが考えられます。

demerit01初期費用やランニングコストなど金銭面の負担

現時点でシステムが存在しないのであれば、新たに開発または導入する必要があります。初期費用がかかるだけでなく、導入後も運用や保守にランニングコストがかかります。

導入したときの想定通りに効果が得られるほど利用できればよいのですが、うまく運用できないとコストだけがかかり、初期費用として投資した分を回収することもままならない可能性があります。

そして、DXの成功には全社的な協力が必要です。特定の部署だけが使っているようではDXとは言えず、組織内外にわたって取り組む必要があります。

demerit02システムの導入に手間がかかる

DXには、長期的な視点でシステムの運用や保守を考えて取り組み続ける意識が求められます。取り組みが中途半端になったり、成果が出ないからと急に方針を変えたりすると結果に結びつきにくくなります。

また、従業員は新しいシステムに抵抗感を覚えたり、慣れるまでに多くの時間を要する場合があります。経営者からしっかりとDXの必要性を伝えることが大切です。

改善を重ねながら、長期的に取り組むための体制づくりに努めましょう。

04.まとめ

最初から理想的なDXの姿を目指すというよりは、デジタイゼーションやデジタライゼーションといったステップを踏んで、着実に続けていくことも大切です。まずは自社にどんな課題があるのか、何をすべきかを考えてみましょう。

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