補助金活用ガイド

省エネ補助金を活用するための準備について

省エネ補助金は単年度予算のため、公募期間は主に4月~6月です。
公募期間終了後は来年度の4月までとりあえず待っていれば良いかというとそうではありません。公募開始から1ヶ月で公募は締め切りになる補助金が多いため、公募開始から申請の準備を始めても手遅れになります。
省エネ補助金を活用するためには、今日から準備を着々と進めて行く必要があります。

省エネ補助金活用の流れ

本コラムでは、省エネ補助金のメリット、デメリットを充分に理解・検討された結果、省エネ補助金を活用しようと決断されたエネルギー需要家さまを対象に、具体的にどのように準備をしていくかをお伝えします。

9月〜11月

今年度の省エネ補助金の概要把握

今年度の省エネ補助金の概要を把握するポイント

今年度の各省エネ補助金の概要(執行団体名、対象設備、公募期間、補助率、採択率等)を調査・把握

9月〜11月

現状設備の把握

現状設備の把握する4つのポイント

  1. 現状設備について、メーカー名・型式・設置年・能力・消費電力・台数等を調査
  2. 設備の設置位置を記載した配置図も準備
  3. 竣工図面と現状の設置位置が異なっている事が多いので、必ず、現場で設備を確認しながら、配置図を準備
  4. 根拠資料として仕様書を準備

9月〜11月

省エネ設備の選定

省エネ設備選定のための3つのポイント

  1. 現状の設備の調査結果に基づき、導入する省エネ設備を選定
  2. 複数の省エネ設備メーカー、販売会社、施工会社等に協力を依頼しよりよい省エネ設備を選定
  3. 省エネ設備の能力、消費電力、台数、参考見積金額を把握し、根拠資料として能力、消費電力が記載されたカタログ、仕様書を取得

9月〜11月

省エネ補助金活用の目標と社内体制と社外体制を決定

省エネ補助金活用の目標と社内体制・社外体制を決定する3つのポイント

  1. エネルギーコストを削減するため、省エネ法や社内の省エネ目標達成や、更新時期に近づいた設備を更新するなど、目標を設定し、優先順位を明確化
  2. 目標を達成するため、経営層などを責任者とし、専任の担当者を選定して社内体制を決定
  3. 省エネ設備のメーカー・施工業者・販売会社・エネルギー供給会社・金融機関・コンサルタント等の社外の協力体制を必要に応じて整備
    ※各社費用が発生する場合がありますので事前に確認してください

11月

省エネ量・省エネ率・費用対効果・投資回収年数を計算

省エネ量・省エネ率・費用対効果、投資回収年数を計算する4つのポイント

  1. 現状設備で使用している1年間のエネルギー使用量の実測値または計算値を把握
  2. 更新後設備で使用する1年間のエネルギー使用量を試算
  3. 上記結果の差より省エネ量を把握
    ※省エネ設備メーカー、販売会社、施工会社等に必要に応じて協力を依頼し省エネ量を把握してもよい
    ※各社費用が発生する場合がありますので事前に確認してください
  4. 工場や建物全体の1年間のエネルギー使用量と省エネ設備の参考見積書の金額を用い、工場や建物全体に対する省エネ率、省エネ量、費用対効果、投資回収年数の数値を計算

計算方法

省エネ量(kL/年) = (省エネ量(電気)(kWh/年)
÷1,000×9.97(GJ/千kWh)
+省エネ量(都市ガス)(㎥/年)
÷1,000×45(GJ/千㎥)
+省エネ量(LPG)(kg/年)
÷1,000×50.8(GJ/t)
+省エネ(A重油)(L/年)
÷1,000×39.1(GJ/kL))
×0.0258(kL/GJ)

省エネ率(%) = 省エネ量(kL/年)
÷工場・建物全体のエネルギー使用量(kL/年)

費用対効果(kL/千万円) = 省エネ量(kL/年)÷補助対象経費(千万円)

投資回収年数(年) = 見積金額(円)÷(各省エネ量(kWh/年)
×各エネルギー単価(円/kWh))

12月

省エネ補助金の採択可能性の評価、申請する補助金の選択

省エネ補助金の採択可能性の評価、申請する補助金の選択のポイント

試算した省エネ量・省エネ率・費用対効果の数値を用い、省エネ補助金の採択の可能性を評価。 効果以外にも、建物に関与しているか、省エネ設備の種類や対象機種などのポイントがある。これらを総合的に評価して、採択 可能性が高い補助金を選択。

※評価の際には過去の採択結果を分析して判断するとよいです。

12月

省エネ設備の決定または再選定

省エネ設備の決定または再選定のポイント

(省エネ設備の追加、仕様変更、メーカー変更、補助対象範囲の変更)

採択の可能性が高い場合はその省エネ設備で決定してください。採択の可能性が高くない場合は、省エネ設備の追加、仕様変更、メーカー変更、補助対象範囲の変更、省エネ計算の精査等をおこない、採択の可能性を高めるように省エネ設備を再選定してください。その後社内にて最終決裁を取得します。

2月〜3月

仮の申請書を作成・添付資料の準備

今年度の申請書フォーマットを用いて仮の申請書を作成してください。

※申請書は大幅に変更になる事はないので、予め仮の申請書を作成しておくと便利です。下記の添付資料を準備してください。
(但し省エネ補助金により添付資料は異なります)

主な添付資料

  1. 事業前・事業後の設備の機器一覧表
  2. 事業前・事業後の配置図
  3. 事業前・事業後の設備の仕様書
  4. 省エネ計算書
  5. 参考見積書
  6. エネルギー供給会社発行のエネルギー使用量明細(電気、都市ガス、LPG,A重油等、1年間分)
  7. 会社案内
  8. 会社の登記簿謄本(原本)(申請日より6ヶ月以内の発行)
  9. 決算書(1期分、損益計算書、貸借対照表)
  10. 建物の登記簿謄本(原本)(申請日より6ヶ月以内の発行)

4月〜

省エネ補助金申請書の作成、提出

省エネ補助金申請書の作成、提出の3つのポイント

  1. 公募期間は約1ヶ月ですので、公募要領が公表されたら、内容をすぐに熟読
  2. 公募説明会が開催される場合は、なるべく参加
  3. 申請書を作成する際は、必ず当該年度のフォーマットを使用し、記載内容を仮の申請書からコピーして最終的に完成

随時

省エネ補助金公募情報の収集

随時省エネ補助金公募情報の収集のポイント

省エネ補助金の公募情報を随時収集

※国の省エネ補助金が公募されるまでの流れは下記の通りです。

国の省エネ補助金が公募されるまでの流れ

  1. 各省が予算案の概算要求を財務省へ提出(8月末)
  2. 財務省が予算案を各省へ内示
  3. 各省が財務省と復活折衝
  4. 予算案閣議決定(12月下旬)
  5. 政府予算案の国会承認、予算成立
  6. 各省から執行団体の公募(1月)
  7. 執行団体の採択(2月~3月)
  8. 執行団体により省エネ補助金の公募開始(4月以降)

下記の省エネ補助金公募情報の情報源から積極的に情報収集してください。

省エネ補助金公募情報の情報源

経済産業省資源エネルギー庁環境省国土交通省のウェブサイト、メールマガジン

一般社団法人 環境共創イニシアチブのウェブサイト

中部経済産業局のウェブサイト・メールマガジン

中部経済産業局・中部地方環境事務所・商工会議所・省エネルギーセンター等のセミナー

ビジエネのウェブサイト、メールマガジン

メーカー・施工業者・商社・エネルギー供給会社・金融機関・コンサルタントからの情報提供

次のページでは、「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」について、詳しくご説明します。

省エネ補助金活用の準備