中国とアメリカの自動車メーカーによる電気自動車(EV)が日本市場に続々乗り込んできた。成長ペースが鈍化しているといわれるEV市場だが、アメリカと中国による覇権争いが日本でも激しくなるかもしれない。
日本メーカーは、ホームグラウンドでどこまで勢いを増せるのだろうか。
中国の新興メーカーが日本でも勢い
1月24日、シティーサーキット東京ベイ(東京都江東区)で開催されたBYDの事業方針発表会。中国で最も多くのEVを販売する大手メーカーとなったBYDのイベントに、数多くのメディアや観客が訪れた。
2015年からEVバスを展開していたBYDは、2023年1月に日本市場に初めて乗用車EVを投入。現在までに3車種を展開し、新車販売台数を2023年に1446台、2024年に2223台と伸ばしてきた。
2025年4月からは4番目となる電気自動車「BYD SEALION 7(ビーワイディー シーライオン 7)」を全国の正規ディーラーで販売開始するほか、プラグインハイブリッド車の日本導入を決めた。
2027年までに7~8モデルを構築する方針だという。
さらに、BYDは3月、5分間で最大400km分充電できるという「スーパーeプラットフォーム」を発表しており、実現すれば15分で最大275km分まで充電できるというテスラの「スーパーチャージャー」を上回ることになる。
対するアメリカは
一方、アメリカの大手自動車メーカーも日本市場に参入する。
ゼネラルモーターズ(GM)は3月8日、高級電動SUVの「Cadillac LYRIQ(キャデラック リリック)」を発売した。
2026年にも、SUVの「Cadillac VISTIQ(キャデラック ヴィスティック)」と「Cadillac OPTIQ(キャデラック オプティック)」を日本で発売する予定だ。
さらに、2014年から日本でEVを展開していたテスラも、改良したミッドサイズSUV「Model Y」の納車を4月から始める。
世界市場の状況
イギリスの調査会社Rho Motionによると、2024年の純電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の世界販売台数は、前年比25%増の1710万台となった。
この調査結果で特に伸びを見せたのは、成長の大部分はPHEVによるものだが中国市場だった。欧州市場が前年比3%縮小したのに対し、36%増加している。新車販売された3分の1強がBYDのモデルだという。
一方、アメリカとカナダの市場は9%のプラスだったが、トランプ政権が前バイデン政権下のEV普及策を見直す方針を掲げている。
Rho Motionは「(2025年は)試練を受けることになるだろう。EPA(経済連携協定)の排出基準やEV税額控除が覆される恐れがあり、どちらもアメリカにおけるEV普及の重要な推進力となっている」と指摘した。
日本市場の行く末は
では、日本市場の現状はどうか。
2024年のBEVの新車販売台数は、普通乗用車カテゴリだと前年比22.6%減の3万4057台。2020~2023年までは新車販売台数が増え続けてきたが、前年より落ち込む結果となった。
全車両に占めるEVの構成比率は1.4%程度と普及率は世界でも低い。EVは車両価格が高く、地方で充電インフラが整っていないことなどが課題にあげられている。
政府が掲げる「乗用車新車販売で電動車(EV、FCV、PHEV、HEV)100%」の期限まで残り10年となったが、道のりは険しい状況だ。
日本市場で今後EVの普及率は上がっていくかは読み切れないが、他国同様、覇権争いはさらに激しくなっていくとみられる。