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宇宙太陽光発電、2025年度にも無線送電実現へ(後編)(2ページ目)

最終更新日: 2025年6月23日

今まではコストの問題などもあり、宇宙太陽光発電は止まったままだった

「宇宙太陽光の計画は経産省主体でやっているが、宇宙太陽光は原発などと違い、コストの問題があるのでビジネス面から進めないとできない。私は30年間大学で民間企業と研究をやっているが、なかなか先に進まなかった。30年やっても動かなかったが、ワイヤレス給電はここにきて動くようになってきた」

宇宙太陽光計画は時代によって推進の機運が激しく上下した
宇宙太陽光計画は時代によって推進の機運が激しく上下した(出所:篠原研究室)

宇宙太陽光は計画が盛り上がってはしぼむ、という流れを繰り返してきた

「太陽光発電は1970年代にアメリカで大きな波が来て、カーター大統領時代には流れがよかったが、レーガン氏が計画をやめてしまった。2000年代はゴア副大統領の時に環境関係が盛り上がったものの、これも共和党政権に戻り動きが止まった」

それでは、なぜ日本でここにきて宇宙太陽光が再始動したのか

「日本はJAXAが宇宙計画を推進するようになり、2009年からは経産省のプロジェクトで地上での無線送電の集大成をやることになった。この無線送電が第3の波であり、2010年ごろから研究が本格化した。距離はとれなかったが、何万キロの距離でも飛ばせる技術は確立した。日本では22年に電波法施行規則等の一部が改正され、920メガヘルツ、2.4ギガヘルツ、5.7ギガヘルツという3つの周波数帯を無線給電で屋内利用することができるようになったことが大きい。この改正を好機ととらえ、無線送電ビジネスを宇宙太陽光につなげた」

無線送電が盛り上がってきた今、日本にとってはチャンスだ

「これまでは日本単独では動かないので、外国を引き込んできた。双方がウインウインになるように仕掛けてきたつもりだ。無線給電は15年ほど前に経産省に働きかけた。今ようやく状況が変わってきた。1970年代、宇宙太陽光発電のことを話しても誰も信じていなかった。ワイヤレス給電技術自体は1960代からあったが、当時は線をつながずに送電するメリットがなかった。1990年代から宇宙太陽光のワイヤレス送電技術を研究してきたが、ビジネスにならなかった。無線送電のユーザーが宇宙太陽光に近づき始めた。ビジネスが動けば市場が活性化して研究のすそ野も広がるし、需要がないと進まない」

宇宙太陽光に関わる無線給電技術は今後どう進むのか

「日本では宇宙太陽光発電学会というものがあり、そこには100人ほどの研究者がいる。世界で1000人もいないので研究者はまだ少ないが、ワイヤレス給電がビジネスになれば研究も広がり、宇宙太陽光も盛り上がる。ロケット技術などは海外に依存せざるを得ないが、期待できる状況にはなってきた」

「飛行機での送電実験が終わったので、今度は人工衛星を飛ばす実験に進む。このままいけば2050年の実用化実現の目標にたどり着けるのではないか。宇宙太陽光はCO2を排出しないことに加え、地上と違い天候に左右されずに発電できる大きな利点がある。また、地上の太陽光だと設備稼働率が15%程度と低いものが、宇宙であれば90%になる。確かにロケットの費用などは高くつくが、1日24時間稼働させて稼働率も上がれば、十分にもとは取れる」

今後目標実現に向けての課題はあるか

「今後の無線送電技術の課題は、システム効率を向上させることだ。回路の変換効率をもっと上げる必要があるだろう。今はワイヤレス給電からの流れがいいので、エネルギー政策の観点で有望な電源として、国には本気で動いてほしい。宇宙太陽光発電にとって3度目のチャンスである今がやり時だ」

宇宙太陽光発電の第一人者である篠原真毅・京都大学教授
宇宙太陽光発電の第一人者である篠原真毅・京都大学教授(出所:篠原研究室)