太陽光発電(メガソーラー)の導入において、自治体は景観破壊と生物多様性への影響という大きな課題に直面しており、多くの地域で設置規制条例を制定し、対応している。森林伐採による生息地喪失や、土砂災害への懸念から地域住民との軋轢も多く、環境と開発の調和が求められている。
今後、2030年代後半以降に想定される使用済太陽光発電パネルの排出量が爆発的に増加する。廃太陽光発電パネルには有害物質が含まれており、その処理には膨大な時間と経費が必要になる。自治体は、この事実に正面から向き合い、大量発生する廃太陽光発電パネルの処理、処分を、規制や条例で事業者任せにすることでは解決しない。
最終処分量を削減するためには、可能な限り多くの資源を回収し、再資源化していくことが不可欠になる。
廃ガラスの再資源化が課題
太陽光発電パネルにはアルミや銀、銅などの価値が高い資源が含まれており、これらについては一定の再資源化が行われている一方で、重量比約6割を占めるガラスなどについては、現状では、品質や経済性の観点から、市場原理だけでは再資源化が進みづらい。
また、使用済太陽光発電パネルの再資源化を円滑かつ確実に実施するためには、太陽光発電パネルのライフサイクルの各段階において、太陽光発電パネルの製造業者・輸入業者や販売業者、太陽光発電パネルの所有者、取り外しを行う事業者、収集運搬業者、中間処理・再資源化などを行う事業者、太陽光発電パネル由来の再生材を使用する事業者、行政などが、それぞれの責任と役割分担の下で、適切かつ計画的に対応するとともに、相互に連携することが求められる。
太陽光発電パネルのリサイクル制度
まずは効率的にリサイクルが実施可能な多量の事業用太陽電池廃棄物の排出者などに対する、新たな法制度による規制の導入(判断基準に基づくリサイクルの取り組みを義務付け)が図られるであろう。
技術開発・設備導入などの予算措置や既存制度により、リサイクル費用の低減・体制整備を図り、2030年代後半以降に見込まれる大量廃棄に備えて規制を段階的に強化した上で、太陽光発電パネルの幅広い排出者などへのリサイクル義務化を目指すことになる。
最大50万~80万tとなる使用済太陽光発電パネルに対して、現行法ではリサイクルを義務付けていない。そのため、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が生じるおそれがある。
FIT/FIP制度では事業者に事業規律の確保などを求めているが、今後増加が見込まれる非FIT/非FIP設備への対応や、事業終了後に発生する放置などの不適正管理への懸念についても留意、対策を講じる必要がある。
国は重点課題として、重量の約6割を占めるガラスの資源循環が進むよう、質の高いリサイクル技術を有する太陽光発電パネルの再資源化事業の認定制度を創設し、質が高くかつ費用効率的な資源循環の実現を目指そうとしている。また、費用効率的な再資源化には、処理能力の確保と広域的な回収が不可欠である。
放置・不法投棄する懸念
現行のままであると、リサイクルより安価な埋め立て処分が選択され、十分な再資源化が行われない懸念がある。認定事業者への太陽光発電パネルの引渡しなどの実施などを義務付け、確実な再資源化を実施させなければならない。
再資源化の確実な実施を担保するためには、再資源化費用の納付を製造業者などに義務付けることなどにより、再資源化に要する費用を確保していくことも重要になる。
事業終了後の太陽光発電設備の放置や不法投棄が全国各地で発生する懸念もある。そのため、費用確保とともに太陽光発電設備の廃棄・リサイクルに関する情報を、自治体を含めた関係者間で共有する仕組みを構築し、廃太陽光発電パネルの放置や不法投棄の発生を極力低減させたい。
リサイクル設備の低稼働率が産業形成を遅らせている
太陽光発電パネルのリサイクルを行っている中間処理業者を対象に環境省が調査を行ったところ、一般的な太陽光発電パネルを250W/枚、20kg/枚と仮定したリサイクル費用(解体撤去、収集運搬を除く)の水準は、8,000円~12,000円/kWに分布している。
ほかの義務的リサイクル制度が措置されている製品と比較しても、現時点では、太陽光発電パネルの製品価格に対するリサイクル費用は高い。また、その低減余地が十分にある中で、現在、リサイクル設備の稼働率が低く、経済合理的なリサイクル技術が研究開発・実装途上にあることなどにより、リサイクル費用は高止まりしている状況である。
2025年11月時点で、環境省が廃棄物処理法上の許可自治体(47都道府県・82政令市)に行った調査では、実使用済太陽光発電パネル専用のリサイクル施設は93件であった。処理能力は約15万t/年であり、設備の導入が徐々に進んできているが、8府県には施設が存在せず、その他の地域でも今後の排出見込量に対して処理能力が不足していることから、排出状況に応じた処理能力の増強が必要である。