今日から使えるAIの活用知識が身に付く
AIコラム第1回
生成AIという言葉を耳にする機会が増えました。ただ、「便利そうだけれど、自分たちの仕事でどう使えばよいのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
情報漏えいは大丈夫か。社内で使ってよいのか。間違った答えを信じてしまわないか。こうした不安があるのは自然なことです。
だからこそ、最初から会社全体で大きく始める必要はありません。まずは、日々の小さな困りごとを一つ、AIチャットに相談してみるところから始めてみましょう。
生成AIは、質問や指示に応じて、文章の下書き、要約、アイデア出しなどを手伝ってくれる道具です。なかでもAIチャットは、特別な知識がなくても、普段の言葉でやり取りできるのが特徴です。
これまでの検索では、自分でキーワードを考え、いくつものページを開きながら、必要な情報を探していました。一方、AIチャットは、「何に困っているのか」「どのような状況なのか」「何を整理したいのか」を伝えると、考えの整理や改善策のたたき台づくりを手伝ってくれます。
検索が「自分で探す」作業だとすれば、AIチャットは「相談しながら考える」作業に近いものです。
たとえば、日々の仕事でこのような困りごとはないでしょうか。
「問い合わせ対応に時間がかかり、他の仕事が後回しになっている」
「会議で決めたことが、あとから分かりにくくなる」
「見積や確認作業の進め方が、担当者によってばらついている」
こうした悩みは、検索しても自社に合う答えがすぐ見つかるとは限りません。会社ごとの事情や人員体制、仕事の進め方があるからです。そんなときは、AIチャットに次のように相談できます。
入力例
あなたは中小企業の業務改善を手伝う相談相手です。
社内で問い合わせ対応に時間がかかり、他の仕事が後回しになっています。考えられる原因を整理し、今週から試せる改善策を3つ提案してください。
足りない情報があれば、先に質問してください。なお、会社名や顧客名などの機密情報は入力しません。
AIからの回答
ありがとうございます。以下は、一般的な中小企業で多く見られる原因と、今週から試せる改善策をセットで整理します。
このように伝えると、AIは原因の候補や改善策を整理してくれます。たとえば、問い合わせの種類が多い、担当者が決まっていない、よくある質問が社内で共有されていない、といった観点が出てくるかもしれません。
ここまでで終わりにせず、出てきた答えを見ながら、さらに相談していくのがAIチャットの使いどころです。
追加の入力例
問い合わせは、納期確認、在庫確認、書類の再送依頼が多いです。電話とメールが混在しています。
大きな仕組み変更ではなく、今週から試せる方法に絞ってください。
AIからの回答
状況がかなり具体的なので、今週すぐ試せて負担が少ないものに絞って3つ出します。
条件を足すと、AIの答えも少しずつ自社の状況に近づきます。最初の答えをそのまま使うのではなく、対話しながら、使えそうな案に絞っていく感覚です。
もちろん、AIの提案をそのまま実行する必要はありません。実際にできるか、社内のルールに合っているか、関係者に無理がないかは、人が確認します。AIは最終判断を任せる相手ではなく、考え始めるための相談相手として使うと、取り入れやすくなります。
文章作成でも同じです。お礼メール、社内のお知らせ文、会議メモの要約などもAIチャットに相談できます。いきなり完成文を求めるより、「誰に向けた文章か」「何を伝えたいか」「どのくらい丁寧にしたいか」を伝えると、使いやすい下書きが出てきやすくなります。
便利に使うために、最初に押さえておきたいことが3つあります。
1つ目は、社外に出してはいけない情報を入力しないことです。お客さまの氏名、社員の個人情報、未公開の企画、取引条件などは入れず、会社名や個人名を伏せて相談しましょう。
2つ目は、AIの答えを人が確認することです。回答には間違いが含まれることがあります。数字、制度、料金、法律、契約に関わる内容は、公式情報や社内資料で確認します。
3つ目は、著作権や利用規約に注意することです。AIが作った文章や画像を使うときは、他の著作物と似ていないか、商用利用できるか、社内のルールに合っているかを確認しましょう。
AIチャットは、仕事を丸投げするための道具ではありません。考え始めるまでの時間を短くし、その分を確認や判断に使いやすくするための道具です。
まずは、日々の仕事で少し困っていることを一つ、AIチャットに相談してみる。その小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
次回は、メールや報告書、申請資料をゼロから書かずに、AIで「8割のたたき台」をつくる方法をご紹介します。