BCP策定ガイド

03 優先度の特定

BCPのカギは優先業務の特定!
~事業継続の“要”を見極めよう~
BCPのカギは優先業務の特定!
緊急事態に直面した際、すべての業務を平常通りに続けることは現実的ではありません。自然災害やシステム障害、パンデミックなど、何がいつ起きるかわからない不確実な時代において企業が生き残り、事業を継続するためには、有事を想定したBCPが不可欠です。

効果的なBCPを策定するために重要なポイントは、「何を優先的に守るべきか」という判断基準を明確にし、「優先業務を特定すること」です。

本記事では、優先業務を実行するために必要なリソースを整理し、それらを維持するための対策や検討すべきポイントについて解説します。
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このコンテンツのポイント
  • BCP策定のカギは「優先業務の特定」
    ・緊急時にはすべての業務を継続できないため、「何を最優先に守るか」を明確にすることが最重要
    ・優先業務があいまいだと、BCP全体の実効性が下がってしまう
  • “人”と“仕組み”の準備が不可欠
    ・「誰が」「どのように」業務を継続するのかを明確にし、代替要員や業務手順書などの体制を整えておくことが実行力につながる
    ・経営層が主導して社内にBCPの重要性を浸透させることがカギ
  • 業種や災害フェーズに応じて優先すべき業務は異なる
    ・医療・製造・小売など、業種ごとに重視すべき業務が異なるため、自社の業種特性に応じて優先業務を特定する
    ・「初動期」「対応期」「復旧期」のフェーズによっても判断基準は変化するため、各フェーズでの行動・業務をあらかじめ整理しておく
優先業務をどう決めていくか
緊急時の業務判断では、まず災害の種類に応じた初動対応を最優先に行います。その後、災害下でも継続すべき業務や、できるだけ早く再開すべき業務を見極めることが重要です。
また、キャッシュフローの状況を確認し、顧客や地域社会への責任も考慮して、対応可能な期間を把握する必要があります。

こうした優先順位の判断軸は、状況や業種によって変わります。まずは「対応フェーズごとの判断ポイント」と「業種別の考え方」を解説します。
優先業務をどう決めていくか
フェーズごとの優先順位
・初動期(72時間以内)
たとえば、災害時に最優先されるのは人命の安全確保と情報収集です。従業員の安否確認や負傷者の救助、避難誘導など、人的被害を最小限に抑える対応が求められます。
・対応期
人的被害の状況と並行して、建物・設備・システムなどの物的損害を確認します。そのうえで、BCPに沿って、可能な業務から順次再開を進めます。
・復旧・復興期
被害状況と使用可能なリソースが把握できた段階で、通常業務の再開やサプライチェーンの再構築など、本格的な復旧に着手します。
業種別の対応の違い
・医療・福祉
人命に直結するため、日常的な医療行為がそのまま重要業務となります。
また、事務スタッフも通常業務ではなく、関係機関との連携や調整などに役割をシフトする必要があります。病院の種類(一次〜三次救急)により対応の内容や優先度も変わります。
・製造業
災害発生直後は従業員の安否確認と、工場や製造ラインの被害状況の把握が最優先です。製造ラインが停止している場合には、その復旧作業が緊急対応業務となります。
復旧状況に応じて、自社工場の稼働再開や、他社との連携による代替生産なども検討できます。従業員の配置も、初動対応から製造業務へと段階的に移行していきます。
・宿泊業
施設が安全な場所にある場合、避難所としての開放が優先されることがあります。まずは顧客の安全を確保したうえで、宿泊サービスの継続可否を判断します。
・全業種共通
業種にかかわらず、最優先すべきは人的被害の把握と安全確保です。その後、事業継続に不可欠な建物や製造ライン、車両などの物的リソースの状況確認が求められます。
BCPに取り組んだ企業事例
緊急時における優先業務は、企業の業種や規模、災害の種類によって大きく異なります。
ここでは、業種ごとの具体的なBCP事例を紹介します。
宿泊業:地域貢献と従業員の安全確保
大規模災害時には、宿泊施設が通常業務を継続できない場合があります。そうした中で、大手・中小の宿泊施設は、施設を避難所や感染症患者の隔離施設として地域に開放した例があります。プライバシーに配慮しつつ、社会課題の解決に貢献した取り組みです。

また、被災地での営業が困難な場合には、安全な地域の支店へ従業員を一時的に転勤させるなど、人材の移動を支援。ストレス軽減にも配慮しながら、自社のリソースを最大限に活用することで、社会貢献と自社ブランドの強化を両立させました。
宿泊業:地域貢献と従業員の安全確保
製造業:安全確保とサプライチェーン維持
災害時には、工場や製造ラインの停止が大きなリスクとなります。製造業ではまず、従業員の安否確認と避難所の確保を最優先し、家族を含めた安全対策を講じました。

全ラインの復旧が難しい場合でも、優先順位の高い製品から段階的に稼働を再開。必要に応じて、グループ会社や業界内の他社と連携し、製造委託や部品供給の調整を行うことで、顧客への供給責任を果たしました。人命を守りつつ、事業を持続させるための柔軟な対応です。
製造業:安全確保とサプライチェーン維持
小売業:地域のライフライン維持と従業員保護
スーパーマーケットなどの小売業は、災害時に地域のライフラインとして不可欠な存在です。まずは従業員の安否確認と安全確保を徹底し、駐車場などを避難場所として地域に提供する事例もみられました。

その後、被災状況を把握しながら、食料品や生活必需品の供給をいち早く再開。仕入れ先や物流業者との連携を維持し、供給ルートを確保しました。さらに、避難者への物資提供などの地域支援活動にも取り組み、企業としての社会的責任を果たしました。
小売業:地域のライフライン維持と従業員保護
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