お役立ち情報

社員100人までの人材マネジメント

第二回
企業成長の壁と壁を乗り越えるための人材マネジメント
~30人の壁・50人の壁・100人の壁とは?~

企業を発展させるには、そこで働く人を増やしていく必要があります。一方で、人が増えることによる企業成長の壁があるともいわれています。
今回は、30人の壁、50人の壁、100人の壁などといわれる企業成長の壁と、この壁を乗り越えるための人材マネジメントについて、ビジエネ会員の皆さまに実施したアンケートの結果とともにお伝えします。

目次

01従業員数について

人材マネジメントとは、会社で働く一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できるように、企業が人材を育成する体制を整え、企業と従業員が一緒になって実践していく人事戦略のことです。
経営目標を達成するためにも、会社で働く人が仕事のやりがいを持ち、長期にわたって安定的に働き続けられるよう、企業には人材を活用する仕組み作りが求められます。これを人材マネジメントといい、採用、評価、育成、能力開発、昇進、退職など、採用の検討から退職までのさまざまな項目が含まれています。
昇進や昇格、異動や配置転換などの人事業務、与えられた仕事を実行できるようにするための研修(OFF-JT)や訓練(OJT)などの人材育成制度も人材マネジメントの一部です。

⑴アンケート結果

Q:現在の勤務先の規模や従業員数について、今後どうなってほしいと思いますか?

アンケート結果をみると、最も多かった回答は「規模や人数にはこだわらない」(81%)、次に「規模を大きくし、従業員数を増やしてほしい」(17%)という結果でした。
規模にこだわらないという考えが大多数ですが、従業員数が増えることを望む声も一定数あります。

Q:現在の勤務先の規模が拡大し、従業員数が増えたと仮定します。どんなことが改善されると思いますか。(複数回答可)

アンケート結果をみると、「ひとりひとりの仕事量が減る」(27%)、「有給休暇が取得しやすくなる」(27%)、「社会的信用度が上がる」(24%)、「労働時間が減る」(21%)、「給料が増える」(20%)に多くの票が集まっています。

従業員が増えることで、仕事量や労働時間が減り有給休暇が取得しやすくなることが期待されます。従業員が増え、拡大した利益の一部を福利厚生にあてられるようにもなります。また、労働時間や福利厚生に加えて企業の社会的信用度が上がり、安心して働ける環境にいると感じる人もいるようです。

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Q:現在の勤務先の規模が拡大し、従業員数が増えたと仮定します。どんな問題が発生すると思いますか。(複数回答可)

アンケート結果をみると、「意思決定のスピードが遅くなる」(41%)、「部門間の連携が悪くなる」(35%)、「社内の風通しが悪くなる」(27%)に回答が集まっています。

従業員数が増えることにより、組織が階層化・複雑化して意思決定が遅くなったり、経営者との距離感を感じて風通しが悪くなったりすることを懸念する人が多いと考えられます。また、ルールや手続きが増えたり、部門が増えることで、組織内の情報共有や連携、上司や同僚とのコミュニケーションの課題なども浮かび上がります。

⑵従業員数が増えることでの課題(〇人の壁)

❶ 第1段階-10人の壁

社長は自らの創造性で起業をします。企業を成長させていくには、ひとりでは限界があるため人を雇います。社長と同じ情熱を持つような人と一緒に働けることが望ましいのですが、採用した人が社長のワンマン型の情熱について来られずに企業成長が難しくなるというリーダーシップの危機が起こり得ます。

従業員が増えることのメリットはありますが、その一方で課題となることも出てきます。ここで、グレイナーが提唱した「5段階企業成長モデル」をもとに、企業規模に応じた組織課題を見てみましょう。

グレイナーの5段階企業成長モデル

❷ 第2段階-30人の壁

会社で働いている人が数名の場合は、各従業員に社長が直接指示を出し、皆で協力して働くことができます。しかし、30人規模になると社長から直接指示を出すことが難しくなり、指示を待ってしまう人もいるかもしれません。各自が自主的に働けず業務が止まってしまうという、自主性の危機が起こります。

❸ 第3段階-50人の壁

50人規模になると数名のリーダーを選出し、指示を出す人が社長からリーダーに変わります。リーダーのスキルによっては業務の進行が遅れたり、社長の価値観がスタッフまで浸透しづらくなり統制が取れなくなるというコントロールの危機が起こります。

❹ 第4段階-100人の壁

リーダーに任せる業務の範囲を決め、ルール化することで統制を取っていきます。さらに100人規模に増えると、組織が階層化し複雑化していきます。そこで、各組織でルールが守られているかを管理する部署が必要になってくるという形式主義の危機が起こります。

❺ 第5段階-100人以上の壁

企業が成長し、各組織のリーダーが自分の組織を主導し、さらにリーダーを統制する部署もできて組織が安定化してくると、従業員が個々人のキャリアを意識し始めます。心理的、感情的な満足感を提供できないとモチベーションが低下し会社をやめてしまう人も出るという新しい危機が訪れます。

02人材育成について

企業の発展にはそこで働く人々の成長も欠かせません。人は自分のキャリアに対する目標を持ったり、自分の成長を感じたりすることで、今の勤務先で働き続けたいというモチベーションが維持されます。企業の人材マネジメントには、従業員が知識やスキルを向上できるように成長を支援する役割が求められます。

次に人材マネジメントに関して、そこで働く人がどのように感じているか、ビジエネ会員の皆さまに実施したアンケート結果をお伝えします。

⑴アンケート結果

Q:勤務先で行っている人材育成の取り組みを教えてください。(複数回答可)

アンケート結果をみると、多かった回答は「職場で実務をしながら知識やスキルをつける現任教育(OJT)」(56%)、「外部研修機関の研修受講」(29%)、「新入社員研修、管理職研修などの階層ごとの社内研修」(27%)と続きます。

職場で中心となる人材育成の取り組みは、実務をしながらの現任教育(OJT)であり、それに加えて入社時や昇格時などは階層研修にて知識やスキルを身につけてもらうような形態をとっている企業が多いようです。その一方で「特にない、わからない」(31%)という回答も多くあります。

Q:従業員の人材育成を行うために、どのような支援を勤務先に望みますか。(複数回答可)

アンケート結果をみると、多かった回答は「資格を取得するための支援」(42%)、「社外研修を受講する機会を増やす支援」(32%)、「上司や先輩からスキルを学べる支援」(31%)でした。

資格を取得してスキルアップしたい、社外研修などで学びを深めたいという回答も多く、現任教育(OJT)と職場外研修(off-JT)を組み合わせるなど、勤務先で必要な知識やスキルを高める人材マネジメントも有効であると推測できます。

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⑵壁を乗り越え組織をスケール化する取り組み

従業員数を増やして企業を発展させていくには、人数による壁を乗り越えなければなりません。グレイナーの「5段階企業成長モデル」では、壁を乗り越えるための人材マネジメントの取り組みがあるといわれています。

❶ 第1段階-10人までの壁を越えるための取り組み

従業員が数人のときは、社長がリーダーシップを発揮して指示を出し、一人ひとりにさまざまな業務を担当してもらいます。よって、働く人には複数の仕事に対応できる柔軟なスキルを持ってもらうことが、壁を乗り越えるために必要な取り組みです。なお、柔軟な人材の雇用が難しい場合はアウトソーシングやフリーランスなど、外部の人材の活用でカバーすることもできます。

❷ 第2段階-30人までの壁を越えるための取り組み

従業員が増えてくると、社長が各自の役割分担と責任の明確化をおこなう必要が出てきます。業務のマニュアル化に加え、各自の役割と責任を果たすための人材育成をおこなうことが、壁を乗り越えるために必要な取り組みです。OJTや階層研修などの実施に加えて、職場外研修の活用も従業員のスキルアップに役立ちます。

❸ 第3段階-50人までの壁を越えるための取り組み

さらに従業員が増えると、営業部・開発部などの部署を作り、社長はそれぞれの部署に責任者となるリーダーを配置し、責任感を持って働いてもらうよう権限を委譲していきます。リーダーには経験豊富な人はもちろん、新しい視点や異なる経験を持った人も必要になってくるでしょう。新しいリーダーともコミュニケーションを取り、これまでの企業文化や社内ルールを伝えていくことが、壁を乗り越えるために必要な取り組みです。

❹ 第4段階-100人までの壁を越えるための取り組み

社内で部署が増えていくと、各部署が社内ルールや業務マニュアル通りに業務をおこなっているか、社長ひとりでは目が届かなくなります。各部署が同じルールで業務運営をおこなっているかを確認する管理部門を作ります。また、社内で情報共有のために定期的にミーティングをおこなうなど、部署間の連携を重視することが、壁を乗り越えるために必要な取り組みです。

❺ 第5段階-100人以上の壁を越えるための取り組み

企業がさらに成長すると、高度なリーダーシップを発揮するリーダーが必要になります。将来のリーダーの育成には、従業員を昇格させて階級に応じた責任と権限を与えていきます。長期間の取り組みが必要なため、モチベーション維持が必要となります。配置転換(ジョブローテーション)やキャリア開発、福利厚生の充実など働きやすい環境を作ることが壁を乗り越えるために必要な取り組みです。

企業ごとに課題は異なりますが、人材マネジメントは必要とされます。OJTやoff-JT研修、複数の部署を経験するジョブローテーション、キャリア開発となる1on1ミーティングや、成果の評価など、企業はさまざまな方法で人材マネジメントへの取り組みを検討していく必要があります。

まとめ

企業の利益拡大にともない従業員数が増えることは、企業の社会的信用度向上との労働時間の改善や、福利厚生の充実が期待される一方で、上司や同僚とのコミュニケーションの課題なども出てきます。企業は課題となる壁を乗り越え、一人ひとりが働くモチベーションを維持できるように、人材マネジメントに取り組む必要があります。
人材マネジメントは、一度の取り組みで終わらず継続して取り組むことが企業の利益拡大の鍵にもなります。

アンケート概要:勤務先での働き方や職場環境に関するアンケート
【調査方法】ビジエネ会員さまにWEB上でのアンケートを実施
【調査期間】2023年3月20日(月)〜3月23日(木)
【回答数】1,300件

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