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第1回では、自社の働く環境のチェック、業務の一覧化をおこない、業務マニュアルとフローチャートを作成すると改善箇所が見えてくるとお伝えしました。第2回では、業務マニュアルとフローチャートの例から、職場の課題を洗い出し、業務課題を分析していきます。
第1回で作成した自社の業務一覧表から、「支払業務」の項目を例に、フローチャート・業務マニュアルを作成してみましょう。
大項目 | 中項目 | 小項目 | 作業内容 | 備考 |
---|---|---|---|---|
総務部 | 備品管理 | 備品の調達 | 購入する備品を決め、注文を行う | |
備品管理簿への記入 | 備品が納品されたら管理簿に品名と数を記入 | 管理簿の様式あり | ||
会議室予約 | 予約簿の作成 | 会議室予約簿を作成し、会議室の入り口に掲示 | 予約簿の様式あり | |
予約簿の記入 | 会議室利用者の名前と連絡先を管理簿に記入 | |||
経理部 | 支払業務 | 支払伝票の作成 | 請求書を受け取ったら、支払伝票を作成する |
項番 | 項目 | 内容 |
---|---|---|
1 | 情報の収集 | 各部から請求書を受け取ったら、経理部は支払伝票作成に必要な支払先の社名や振込先口座番号、支払日、支払金額などの情報を収集する。 |
2 | 伝票の作成 | 収集した情報をもとに、経理部は会計システムに支払情報を入力。伝票番号や作成日なども付け加える。 |
3 | 伝票の承認依頼 | 会計システムの責任者承認機能を使用し、入力した支払情報を経理部の責任者に提出する。 |
4 | 伝票の承認 | 経理部の責任者は入力された支払情報を確認し、正確である場合は会計システムで承認。誤りがある場合は修正箇所を経理担当者に伝え、承認を却下する。 |
5 | 伝票の印刷 | 経理部の責任者が承認した支払情報を、会計システムから印刷し、支払伝票を出力する。 |
6 | 支払処理 | 経理部の責任者が承認した支払情報をもとに、毎月月末に会計システムから支払処理がおこなわれる。 |
7 | 伝票の保管 | 会計システムから印刷した支払伝票のうち、月末に支払処理が完了した伝票を取りまとめ、月ごとに保管する。 |
業務マニュアルとフローチャートを作成することにより、ひとつひとつの業務の流れが分かります。従業員が業務をマニュアルに沿った手順でおこなうことにより、業務を標準化することができます。業務改善の第一歩はマニュアルを作成することによる標準化といえます。
業務マニュアルとフローチャートを作成したら、次は自社の業務課題がどこにあるのかを把握します。
第1回で紹介した「働く環境のチェックシート」を参考に、よくある課題を紹介します。チェックシートでは、自社で特に課題となっている項目が分かりますので、ぜひチェックしてみてください。
1
職場の整理・整頓
文具や資料、資材など物の置き場や保管場所が決まっていないと、職場内の物品がどこに収納されているのか分からず従業員が物を探すのに時間がかかります。また、保管場所は決まっていても、ただ積み上げられているだけなど、片付けられておらず物を取り出すのに時間がかかるという課題もあります。
2
従業員の動線
連携しておこなう業務を持つ従業員同士がそれぞれ離れた場所に配置されていると、業務連絡や情報共有に時間がかかります。また、設備の設置が優先され、従業員の通路が狭くなったり長くなったりして、従業員の動線が悪くなっているという課題もあります。
3
従業員の労働時間
残業や休日出勤など長時間労働をしている人がいる部署は、1人が1日に実施できる仕事量よりも多くの仕事が割り当てられている可能性があります。また、業務量は適切であっても、会議などの時間が長く、時間が足りないという課題もあります。
4
従業員の配置
業務量が多い繁忙期・少ない閑散期のある部署で、従業員数が一定の場合、業務量が多く業務が遅れたり、反対に業務量が少なく従業員が待ちになってしまったりと、業務量に応じた配置になってないのはよくある課題です。
5
従業員のスキル
部署内の従業員それぞれのスキルレベルが異なり、スキルの高い従業員に多くの業務が割り当てられているというのはよくある課題です。特定の専門知識やスキルが必要な部署では、高度な知識を持った従業員のスキルが他の従業員に伝わってないということも。
6
部門間の忙しさ
一部の部署に業務が偏り、他の部署は業務が少ないという部署ごとの不均衡は、業務が適正に分配されてない、従業員が適正に配置されてないという課題です。
7
事務作業・管理業務
データ入力や申請処理、発注管理、会計処理などの事務作業が手作業になっており、多くの時間がかかり、ミスが発生しやすいということもよくあります。また、手順や手続きが複雑化してチェックなどに時間がかかるという課題もあります。
業務改善のための取り組みは、各部署の従業員がおこなうケースが多いため、従業員が感じている課題のヒアリングも必要になります。具体的な現場の課題を把握することもでき、改善策を作るのに役に立ちます。また、現場の従業員の意見を尊重することは従業員の協力を得やすくなるという効果も期待できます。
実際に従業員が働く現場でフローチャートや業務マニュアルを確認しながらヒアリングする方法もあります。
職場の環境チェックの結果や、フローチャート・業務マニュアル、現場の従業員へのヒアリングから得られた意見などを取りまとめ、どこに業務改善が必要かを分析します。課題分析をしないで個々の課題に対応することもできますが、似たような課題が何度も発生することもあるため、課題が生まれる本質的な原因を把握してから対策をします。
例えば、冬に従業員から「オフィスが乾燥する」という課題が挙がったとしましょう。
課題を分析せずに個々の課題に対応した場合、会社から従業員にポータブル加湿器を希望者分購入したが、翌年の冬に「昨年より乾燥している。最新の加湿器が欲しい」と言われ、新商品の加湿器を購入する、ということになりかねません。
課題を分析するとは、オフィスで乾燥するエリアを調査し、空調設備に問題があるのか、従業員を配置する位置に問題があるのか、上司から会社にオフィス環境の問題が伝えられていたのかなど、本質的な原因を分析することです。
課題の分析をすることで、業務改善のポイントが見えてきます。自社の設備が足りていない、作業手順が標準化されていない、経営者と従業員で意見が異なる、従業員のスキル習得に時間がかかる、部門間の連携が遅い、人材不足により業務負荷が増加している、必要度の低い作業に時間をかけている、煩雑な手作業により業務が遅延しがちであるなど、職場ごとの業務改善のポイントが明らかになってきます。
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業務効率化を目指し、まずは業務マニュアルやフローチャートを作成して業務を可視化すること。そして標準化できている業務とできていない業務を明らかにし、業務課題を洗い出します。
次回は、業務改善の優先順位のつけ方をご紹介します。優先順位をつけるためにも、業務課題を分析して本質的な原因を探り、業務改善のポイントを明らかにしておきましょう。
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