中国の「中国製造2025」(Made in China 2025)を基盤とした宇宙産業、ロボット、モビリティ産業などは、価格面だけでなく技術、製品の質においても他国を凌駕する「世界最高水準」に達している。中国の先端産業における現状と課題を探った。
航空宇宙分野、重点的に強化
中国政府が2015年に打ち出した国家戦略「中国製造2025」は、航空・宇宙装備、ロボット製造、次世代自動車(モビリティ)、鉄道・輸送装備などを含む10大重点産業を掲げ、高度技術の自立・強化を目指すロードマップである。中でも、中国が「先進国」の一角となるべく、強化しているのが航空宇宙産業だ。
中国は現在、衛星・ロケットの量産化や打ち上げ頻度の向上に取り組んでいる。月探査では、2024年に嫦娥6号が月の裏側から岩石や砂などのサンプルを回収することに成功し、南極極域でのロボット月面ステーション構想を打ち立てている。人型月着陸機「攬月(Lanyue)」による、2030年前後の有人月着陸実現へ向けた自律着陸試験も進めるなど、ここ10年ほどで中国の宇宙開発技術は格段に進化した。
Galactic Energy(星河動力)は、2024年に液体ロケットやエンジンの生産基地、エンジン試験台、固体ロケット組立基地などの設備を完成させ、全面稼働を開始した。2024年5月にはCeres-1 による12回目のミッションが成功。これまでに19回の商業ミッションを成功させ、計81基の民間衛星を投入した。Ceres-1 は中国の民間ロケットで最多成功となっている。
China Aerospace Science andTechnology Corporation(中国航天科技集団、CASC)は中国の宇宙産業をけん引する存在である。中国宇宙ステーション(CSS)で「天舟7号」「天舟8号」による貨物ミッション、「神舟18号」「神舟19号」による有人往還ミッションなどに取り組む。
中国の宇宙産業は近年急成長している(出所:Galactic Energy)
人型ロボット、商業化視野に研究開発
2025年8月、世界ヒューマノイドロボット競技会(ロボットオリンピック)が北京で開催され、280チームが人型ロボットに関する技術を競った。世界的にも注目度は高く、「embodied AI(具現化されたAI)」への取り組みを国家を挙げて進めている。
中国ではロボットによる製造現場での人型・四足ロボット活用が進展しており、Unitree(宇樹科技)など、コスト競争力と技術を兼ね備えた企業も多い。
中国のXiaomi(シャオミ、小米)が発表した初の自社製人型ロボット「CyberOne」は、2022年に初公開された。身長177cm、体重52kg、21の自由度を持ち、環境音が85種、感情45分類を識別できる「MiAI」音声感情認識エンジンを搭載。高度なAIと機構技術を統合した未来志向の試作機である。
2024年には、CyberOneを工場の製造ラインに段階的に導入する実験が進められている。製造工程の特定シナリオにおける自動化を狙ったもので、より高度で知能的なモデルの開発に加え、エレクトロニクス、機械、自動車など様々な産業への応用拡大を狙う。
ただ、CyberOneの量産についてはまだ時間がかかるとの見方が強く、現状では試験・研究段階となっている。この人型ロボットをいかに商業化に結び付けるか、世界が注目している。
(出所:CASC)