改善事例
取材日 2015年7月
老朽化した空調と給湯を高効率な設備に更新。
メンテナンス性向上とランニングコスト削減を果たす。
社会福祉法人 英楽会 副理事長
赤井久夫さま
名高齢者施設では、デリケートな空調管理や安定した給湯設備が必須条件。
しかし、楓林花の里さまの本館は開設後15年以上が経過し、空調・給湯ともに設備の老朽化や保守管理の煩雑さが課題となっていました。
「利用者のみなさんに、快適で安全に過ごしていただくことが第一です。
そのためには、毎日使う空調や給湯設備はとても重要です。
しかし、設備もかなり古くなり、度々の保守やメンテナンスも負担になっていましたので、将来を考えて全面的に更新することに決めました」(副理事長の赤井さま)
事務主任 林史典さま
設備の中でも大きな課題となっていたのが、空調のガス吸収式冷温水器。冷房と暖房の切り替え作業は施設スタッフではできないため、専門業者を毎回呼ぶ必要がありました。当然そのために費用も発生。また、ガス燃焼による機器への負荷も大きく、部品交換やメンテナンスなど管理も大変でした。
「専門スタッフが居ないので、知識の少ない事務担当の私が窓口になり、故障やメンテナンスのたびに機器ごとに別の会社に連絡を取って対応してきました。施設利用者さまにご不便をお掛けしないように日程を調整したり、負担は大きかったですね」(事務主任の林さま)。
空調はガス吸収式冷温水器から、高効率な電気式の空冷チラーに更新。冷暖房の切り替えなどの操作は事務所からワンタッチで可能になり、燃焼もないため保守やメンテナンスも楽になりました。また、冷温水の循環ポンプ設備には、今回の更新に合わせポンプの運転制御にインバーターを設置。ポンプは使用状況に関わらず常に稼動させていましたが、最適な制御が可能になり省エネにも役立っています。
さらに、共用スペース用の空調は最新のビル用マルチエアコンに更新し、空調全体での省エネ性も向上しました。
施設利用者の楽しみのひとつが入浴。楓林花の里さまでは大浴場に加え、体の不自由な方も入浴できるよう特別浴室も備えています。そのため、いつでも快適に入浴していただくためには給湯設備も重要なポイント。これまではガスボイラを使っていましたが、燃焼があるために発生する度々のメンテナンスも近年は課題になっていました。
業務用エコキュートにすることで、割安な深夜電力でお湯を作って貯湯タンクで保温できるようになり、ランニングコスト削減にも寄与しています。また、既設のタンクや配管はそのまま活用するなど、設置費用を抑える工夫もされました。 ※浴槽の循環加温はガス給湯器で補完しています。
三菱重工冷熱株式会社
佐藤繁樹さま
今回の設備更新にあたっては、三菱重工冷熱株式会社さまが使用状況の分析などを踏まえた省エネ提案を行ないました。「快適性を損なうことなく、省エネ性を高めるためのシステム構築や機器選定を検討しました。例えば、ガス吸収式冷温水器が2台設置されていたものを空冷チラー1台にするなど、最適な提案ができたと思います」(三菱重工冷熱株式会社 佐藤さま)。導入後8ヶ月間の実績(本館、南館の合算値)では、前年比でランニングコストが約17%削減、エネルギー消費量(一次エネルギー換算)は約20%削減という期待通りの効果を生み出しています。
この他、ガス吸収式冷温水器で使用していたクーリングタワーが無くなったため、水道代も大幅削減できました。
また、空調、給湯とも事務室のコントロールパネルから一括管理ができるため、操作も容易になり、運転状況も把握しやすくなりました。設備の保守管理もメンテナンス会社に一括委託でき、職員の負担も大きく軽減されました。
■ランニングコスト
■省エネ性(一次エネルギー)
※グラフは本館、南館を合算したものですが、本館の空調・給湯機器のみの更新でこのような削減率を実現。
取材先DATA
導入システム