電力会社がご提案するBCP策定ガイド

第3回 BCPを策定する❷

5. 緊急時の体制整備

緊急時に誰が重要な意思決定をおこない、指示を出すか?

突発的に緊急事態に遭遇した際、あなたの会社の従業員は、平常時と同じように冷静な判断をおこない、避難やお客さまの安全確保を実施できるでしょうか。おそらく平常時と同じように冷静な判断をすることは困難になってしまうと思います。また、場合によっては、従業員がパニック状態になることも考えられます。こうした場合、あなたの会社の緊急時対応に関して、意思決定をおこない、従業員を指示する統括責任者の役割が重要となってきます。

そのため、緊急時でもあなたの会社が事業継続のために適切に行動できるよう、緊急時の統括責任者を取り決めます。

ただし、緊急時に統括責任者が出張のため不在であったり、負傷し全社的な指示が出せなくなってしまう場合も考えられますので、統括責任者の代理責任者もあらかじめ決めておくことが重要となります。さらに、統括責任者および代理責任者の両方が不在の場合も考えられるため、可能であれば代理責任者のさらに代理者まで取り決めておくことをおすすめします。

CHECK

緊急時における統括責任者もしくは代理責任者が意思決定し、全社的に指示を出さなければならない対応には、さまざまなものがあります。では、つぎに地震発生時の対応の例を紹介します。

緊急時の対応(地震時の例)

当日〜

緊急事態
統括担当者、代理責任者が
意思決定および
指示すべき対応内容
  • 従業員・お客さまの避難
  • 従業員・お客さまの安全確認
  • 被災した従業員・お客さまの対応
  • 二次災害(地震発生に伴う火災など)の発生 防止 など
左記緊急時の対応内容に対する
設備担当者の対応内容
  • 避難経路を示す非常灯・誘導灯の点灯状況の確認
  • 停電時では、非常用電源の動作確認
  • ①非常用通信設備がある場合は、消防等へ救助
    連絡するための通信待機
    ②応急措置に必要な電源の確保
  • 使用中の設備・機器の電源を切る、電源コンセント からプラグを抜く など

数日〜

  • 重要商品(中核事業)の提供(休止)
  • 各種取引先との連絡調整
  • 行政・業界団体への対応
  • 必要な資金の確保 など
  • 「第2回BCPを策定する1」の非常時用電気設備
    機器リスト
    で定めた順次に応じた設備・機器や配線等の点検
    ②再稼働可能機器のリストアップ ③生産・販売・管理等における重要データの確認 ④重要商品の生産
  • 取引先に対し、非常用電気設備機器リストをもとに
    対応できる商品の量、品種、期間調整の実施
  • 電気やその他エネルギーの使用可否を確認し使用
    可能な範囲と消費量の確認
  • 非常時運転設備・機器の設置導入投資やリース科、
    非常時受電に必要な電力借入にともなう費用、燃料費など、資金確保に必要な資料の整理 など

次ページでは「第3回 BCPを策定する2」を業種別にBCP策定の視点でまとめました。ご利用ください。

第3回