シリーズ連載してきた「電力会社がご提案するBCP策定ガイド」も、いよいよ最終回となりました。初回のプロローグ編からお読みいただき、ありがとうございます。あなたの会社の基本的なBCP策定のお役に立ちましたでしょうか?
前回まで紹介してきた本コンテンツの内容は、あくまでも最低限必要なBCPの検討項目であり、BCPへの取り組み方を整理する、ということを目的としたものです。
そのため、本コンテンツにより簡易なBCP(初版)を策定した後は、「被災した際に目標とする復旧期間(目標復旧期間)や被害想定を新たにBCPに盛り込む」「従業員のスキル一覧表等の具体的な帳票類を作成する」「防災とBCPの関係性を再整理する」「日々の経営とBCP運用を一体化する」など、取り組みの範囲を拡大し、あなたの会社にとって、より理想的なBCPの策定・運用へと近づけていくことが重要となります。
そのためには、上記のようなさまざまな取り組みをおこなう必要がありますが、これらの中でも、「防災とBCPの再整理」「日々の経営とBCP運用の一体化」の2点が、とくに検討していただきたい点となります。そこで、本コンテンツの最後として、この2点について検討内容などを解説しますので、今後の活動の参考にしてください。
これまでは、「あなたの会社にとって重要な経営資源(人、物、金、情報など)がなくなったら、また、ライフライン(電気、ガス、水道など)が途絶えたらどうする?」ということを考え、必要な対策などをBCPとしてとりまとめ、運用する手順を解説してきました。ただし、緊急時にあなたの会社の基本方針に則り事業継続を実現するためには、大変重要な観点がもうひとつあります。それは「そもそも重要な経営資源をなくさないためにはどうする?」ということです。これは、経営資源を守るための取り組みをおこなうことであり、従来の「防災」への取り組みとなります。防災への取り組みの例としては、「設備を固定する」「安否確認ルールを整備する」といったものが挙げられ、これらの対策などまで含んだ、広い意味でのBCPを策定・運用することが重要となります。
そのため、本コンテンツをもとに簡易なBCP(初版)を策定した後は、あなたの会社の防災への取り組みと策定したBCPの関係性を一度整理してみてください。そのうえで、BCP(初版)に防災への取り組みを入れ、従業員や機械設備などを守ることができ、尚かつ事業継続に向けた対応の道標となるBCPへと発展させることが望ましいといえます。
エピローグ